【サプライチェーン強靱化枠】事業再構築補助金第12回公募の事業類型を解説

【サプライチェーン強靱化枠】事業再構築補助金第12回公募の事業類型を解説

令和6年4月23日(火)に発表された事業再構築補助金の第12回公募における「サプライチェーン強靱化枠」について、補助金額や補助率、対象経費、要件について解説します。

そもそも事業再構築補助金とは

事業再構築補助金については公式サイトにて以下のように説明されています。

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。

事業再構築補助金事務局ホームページ
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/saikouchiku.html

なお、第12回公募の事業再構築補助金については、以下の記事にて、全体像を解説していますので、まずはどのような枠があるのかを知りたい方や前提となる補助対象者(中小企業等、中堅企業等)の要件について知りたい方はぜひ併せてご覧ください。

サプライチェーン強靱化枠とは

ポストコロナの経済社会において、海外で製造等する製品の国内回帰や地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠な製品の生産により、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中小企業等に対する支援を行う事業類型です。

補助金額

建物費がない場合1,000 万円〜3億円
建物費がある場合1,000 万円〜5億円

補助率

中小企業者等1/2
中堅企業等1/3

補助事業実施期間

交付決定日~28か月以内 (ただし、補助金交付候補者の採択発表日から30か月後の日まで)

交付決定前に補助事業を開始された場合は、原則として補助金の交付対象とはならず、第11回公募までは認められていた事前着手制度も完全に廃止される形となります。

しかし、経過措置として、、第10回公募において、サプライチェーン強靱化枠にて不採択となった事業者が、第12回公募において、サプライチェーン強靱化枠に申請する場合に限り、事前着手制度を利用することが可能です。

事前着手制度を活用した場合は、交付決定前の令和4年12月2日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とすることができます。

補助対象経費

建物費

  1. 専ら補助事業のために使用される工場その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
    • 工場とは日本標準産業分類に掲げる製造業の用に供される施設を指す
    • 減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「建物」、「建物附属設備」に係る経費

建物費の注意事項

  • 減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「構築物」に係る経費は対象外
  • 建物の単なる購入や賃貸は対象外
  • 建物の取得においてリース会社を利用する場合は、建物取得費は本補助金の対象外
  • 入札又は相見積もりが必要
  • 補助事業により取得した建物等の不動産賃貸等への転用は不可能
    • 不動産賃貸等に転用した場合、目的外使用として、残存簿価相当額等の国庫返納が必要

機械装置・ システム構築費

サプライチェーン強靱化枠においては、生産のための機械装置の導入が必須

  1. 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作に要する経費
    • 減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」に係る経費が補助対象
  2. 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の導入・構築に要する経費
  3. 上記の1・2と一体で行う、改良、据付け又は運搬に要する経費
    • 改良に要する経費…本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うもの
    • 据付けに要する経費…本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なもの
    • 運搬に要する経費…購入する機械装置の運搬料
  4. 機械装置又は自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費

機械装置・ システム構築費の注意事項

  • 汎用性があり、目的外使用になり得るものや、減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「構築物」、「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」に係る経費は対象外
  • 既存の機械装置等の単なる置き換えに係る経費は対象外
  • 補助事業実施期間中のリース・レンタルに係る借用のための経費は対象外
    • ただし、中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に、中小企業等とリース会社が共同申請をする場合には、機械装置又はシステムの購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能です。
  • 中古設備も対象になり得るが、3者以上の古物商の許可を得ている中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得しており、事業再構築指針の国内回帰及び地域サプライチェーン維持・強靱化に該当するための要件の1つである「導入設備の先進性要件」を満たしていることが必要
  • 単価10万円(税抜き)未満の機械装置等は対象外
  • 100万円(税抜き)以上のシステム構築費を計上する場合、実績報告時に、要件定義書(費用見積書を含む)または開発費用算出資料(作業単価、作業工数及び作業時間、固定費用、作業担当者、作業担当者勤務記録等)の提出が必要
補足:リース会社との共同申請について
  • 機械装置・システム構築費については、中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に、中小企業等とリース会社が共同申請をする場合には、その購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能
  • なお、リース会社は1つの共同申請につき1社とし、補助上限額、補助率は、当該申請における中小企業等のものが適用
  • 申請に当たっては、以下の条件を全て満たすことが必要となります。
    • 中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されていることが確認できる証憑として、(公社)リース事業協会が確認した「リース料軽減計算書」を事務局へ提出
    • ファイナンス・リース取引のみが対象
    • 対象となる経費は、リース会社が機械装置・システムの販売元に支払うこれらの購入費用に限ります。本スキームをご利用頂く場合、中小企業等がリース会社に支払うリース料そのものについては補助対象外となりますのでご注意ください。
    • 購入する機械装置・システム等の見積もりの取得については、相見積もりを取ることが必要で、また、契約(発注)先1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上になる場合は、3者以上の同一条件による相見積もりを取ることが必要
    • 取得する資産については、通常の補助事業により取得する資産と同様に、財産処分制限が課されるため、リース期間について特段の事情がない場合には、財産処分制限期間を含む期間となるように設定することが必要
    • 財産処分制限期間内にリース契約の内容の変更を行う場合には、改めて(公社)リース事業協会が確認した「リース料軽減計算書」の事務局への提出が必要
    • 万一財産処分を行う場合には、その他の本補助金を用いて取得した資産と同様に、残存簿価相当額又は時価(譲渡額)により、処分に係る補助金額を限度に返納する義務が発生
    • リース会社においては、適切なリース取引を行うことについての誓約書(リース取引に係る宣誓書)の提出が必要
    • セール&リースバック取引や転リース取引は本スキームの対象外
    • 割賦契約はリースには含まれない

サプライチェーン強靱化枠の要件

  1. 事業再構築要件
    • 事業再構築指針に示す「事業再構築(国内回帰又は地域サプライチェーン維持・強靱化)」の定義に該当する事業であること
  2. 金融機関要件
    • 事業計画について金融機関等又は認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。ただし、補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
  3. 付加価値額要件
    • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率 5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
  4. 国内増産要請要件
    • 取引先から国内での生産(増産)要請があること(事業完了後、具体的な商談が進む予定があるもの)
  5. 市場拡大要件
    • 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること(ただし製造業に限る。)
  6. デジタル要件
    • 下記の要件をいずれも満たしていること
      • 経済産業省が公開するDX推進指標を活用し、自己診断を実施し、結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること
      • IPA が実施する「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っていること
  7. 事業場内最低賃金要件
    • 交付決定時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高いこと。ただし、新規立地の場合は、当該新事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高くなる雇用計画を示すこと
  8. 給与総額増加要件
    • 事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること
  9. パートナーシップ構築宣言要件
    • 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにて、宣言を公表していること

2回目の申請を行う際の追加要件

第1回~第11回公募の事業再構築補助金において、既に交付候補者として採択されている事業者は、交付決定を受けずに辞退した場合を除き、第12回公募の申請が不可能となっています。

しかし、サプライチェーン強靱化枠の要件に加えて、以下の1及び2を満たす者は、過去の事業再構築補助金にて交付候補者として採択されたことがある場合でも、サプライチェーン強靱化枠に申請することが可能です。
(過去にサプライチェーン強靱化枠で補助金交付候補者として採択されている事業者、すでに2回事業再構築補助金の交付決定を受けている事業者は応募不可)

  1. 別事業要件
    • 既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること
  2. 能力評価要件
    • 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること

なお、補助金額については、第12回応募申請時点における1回目採択分の「採択額/交付決定額/確定額」のいずれか最も低い金額と、第 12 回公募のサプライチェーン強靱化枠の補助上限額との差額分を上限となります。

事業再構築補助金は、ものづくり補助金などとは異なり、原則1度のみしか補助金の受給ができない制度となっています。
しかし、過去に、事業再構築補助金に採択された事業者であっても、
サプライチェーン強靭化枠での採択がされておらず、事業再構築補助金の交付決定を受けているのが1回の事業者に限り、2回目の申請が認められています。

まとめ

サプライチェーン強靱化枠は、ポストコロナの経済社会において、海外で製造等する製品の国内回帰や地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠な製品の生産により、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中小企業等に対する支援を行う事業類型となっています。

弊社、G&Nも「認定経営革新等支援機関」として、400社以上の経営支援を行ってきた実績がございますので、もし、「事業再構築補助金についてさらに詳しく知りたい」、「事業再構築補助金の申請を検討している」という事業者様がいらっしゃいましたら、ぜひG&Nにご相談ください。

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