事業再構築補助金(第11回公募)の採択結果について考察

事業再構築補助金(第11回公募)の採択結果について考察

令和5年10月6日が締切となっていた事業再構築補助金の第11回公募について、令和6年2月13日に補助金交付候補者の採択結果が発表されました。

事業再構築補助金の採択結果についてはこちら

https://jigyou-saikouchiku.go.jp/result.html

本記事では、事業再構築補助金第11回公募に関する公表資料を基に採択率や採択傾向などに関する考察を行います。

事業再構築補助金第11回公募の採択率

事業再構築補助金の『第11回公募結果の概要について』によると、応募件数は合計9,207件、採択件数2,437件となっています。

<第11回公募の応募と採択結果>

申請枠成⾧枠グリーン
成⾧枠
産業構造
転換枠
最低
賃金枠
物価高騰対策・
回復再生応援枠
合計
応募件数2,5085972421895,6719,207
採択件数69818753481,4512,437
採択率27.8%31.3%21.9%25.4%25.6%26.5%
事業再構築補助金第11回公募の結果について|事業再構築補助金事務局』のデータを用いて申請枠ごとに採択率を算出

これらの結果から、「採択率が過去最低の水準であること」と「グリーン成長枠の採択率が高く、産業構造転換枠の採択率が低いこと」が傾向として挙げられます。

まず、「採択率が過去最低の水準であること」についてですが、事業再構築補助金の採択率は以下のように推移しています。

事業再構築補助金(第1回〜第11回)の採択結果を基に株式会社G&Nにて集計・グラフの作成

第1回の36%を除き、45%〜50%前後が目安となっていましたが、今回は「26.5%」と大幅に平均採択率が減少していることが明らかになりました。

また、「グリーン成長枠の採択率が高く、産業構造転換枠の採択率が低いこと」についてですが、グリーン成長枠は2番目に高い採択率となっている成長枠の27.8%を3ポイント超上回る31.3%の採択率となっており、産業構造転換枠は2番目に低い採択率となっている最低賃金枠の25.4%を3ポイント超下回る21.9%となっています。

サンプル数や要件適合などの観点から、あくまで推測とはなってしまいますが、グリーン成長枠・成長枠の順に採択率が高いことから、成長分野への転換を強く促したい意向であり、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野への該当や新事業の属する市場が10年間で10%以上の規模拡大に該当する当該申請枠が高く評価される傾向にあると見られます。

逆説的に言えば、産業構造転換枠は主な既存事業の市場が縮小傾向にあることが要件の一つとなっており、喫緊の再構築が必要な事業者向けの申請枠ではあるもの、成長枠とは異なり、新たに取り組む事業が成長分野か否かを問わないかたちとなります。

そのため、結果として成長枠に申請不可能な事業計画を有する事業者の申請が占める割合が高くなり、採択率が低水準になったのではないかと推察されます。

業種別の応募と採択割合について

事業再構築補助金第11回公募における応募件数・採択件数ごとの業種については以下のように公表されています。

事業再構築補助金第11回公募の結果について|事業再構築補助金事務局』より引用

全体としては、製造業、卸売・小売業、建設業が比較的多くの割合を占めています。

これらの応募件数ベースの割合と採択件数ベースの割合を比較してみると次のようになります。

標準産業分類応募件数ベースの割合
構成比率(%)
n=9,207
採択件数ベースの
構成比率(%)
n=2437
応募→採択
増減(pt)
D建設業13.5%13.1%-0.4
E製造業19.7%30.9%+11.2
G情報通信業5.4%6.6%+1.2
H運輸業,郵便業1.6%1.5%-0.1
I卸売業,小売業16.1%15.1%-1.0
K不動産業,物品賃貸業4.1%1.9%-2.2
L学術研究,専門・技術サービス業6.9%7.1%+0.2
M宿泊業,飲食サービス業11.5%8.4%-3.1
N生活関連サービス業,娯楽業7.0%3.4%-3.6
O教育,学習支援業1.6%1.2%-0.4
P医療,福祉3.5%2.4%-1.1
Rサービス業(他に分類されないもの)6.8%6.3%-0.5
その他2.4%2.1%-0.3
事業再構築補助金第11回公募の結果について|事業再構築補助金事務局』を参考に株式会社G&Nにて作成

まず目を引く部分としては、応募件数ベースでは19.7%を占めていた製造業が、採択件数ベースの際には30.9%を占めていることだと感じます。これについては、最も採択率が高い水準にあった「グリーン成長枠」(グリーン成長戦略「実行計画」14 分野)と関連が高い傾向にあるのが製造業であることも少なからず影響していると考えられるものの、応募件数ベースと採択件数ベースで11.2ポイントも増加していることから、「製造業は採択されやすい」傾向にあると考えられます。

また、二つの件数ベースにおける割合を比較した際に、製造業が11.2ポイントも増加している分、そのほかの業種については、減少傾向になりやすい状況となりますが、その中でも、N生活関連サービス業,娯楽業とM宿泊業,飲食サービス業は他の業種と比べても減少幅が大きい傾向にあることから、「N生活関連サービス業,娯楽業とM宿泊業,飲食サービス業は採択されづらい」傾向にあると考えられます。

なお、この採択されづらいと考えられる2つの業種については、先述の「新事業の属する市場が10年間で10%以上の規模拡大」といった成長分野として取り上げられている業態が比較的少ない、もしくは、新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受けていて事業継続力に課題が見受けられることに起因して、高い評価を獲得しづらい状況にあるのではないかと推察されます。

応募金額・採択金額の分布について

申請時の補助金額(応募金額)及び採択金額についても金額帯ごとの割合も公表されています。

事業再構築補助金第11回公募の結果について|事業再構築補助金事務局』より引用

応募金額が高いと採択されづらいといった噂もありますが、申請時の金額と採択された金額帯の割合は多少の差異はあれど、特筆すべき程の際はない形となっており、応募金額と採択率の相関性は認められないと考えて良いかと思います。

実際に、弊社(株式会社G&N)にて支援をさせていただいた事業者様においても、申請金額の多寡を問わずに採択されておりますので、応募金額が大きいか否かではなく、投資金額に相応の事業計画、資金計画、投資対効果となっているか?」が重要な観点であると考えております。

その他(事業再構築補助金第11回公募の結果の概要について)

事業再構築補助金については、採択結果の発表の際に応募数や採択数に関するデータが開示されます。

事業再構築補助金の採択結果ページ(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/result.html)にて掲載されている『第11回公募結果の概要について』にて、今回引用させていただいたデータのほか、都道府県別の応募件数の割合や応募件数・採択件数、応募金額の分布、認定支援機関別応募・採択状況も公開されているため、興味のある方はぜひご覧ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

第11回公募で採択された事業者様もいれば、残念ながら不採択となってしまった事業者様、そしてこれからの申請を検討されている事業者様もいるかと思います。

本記事においては、第11回公募の採択結果を基に推測できる情報をまとめましたので、残念ながら不採択となってしまった事業者様、もしくは、これからの申請を検討されている事業者様の再申請等にお役立ていただけますと幸いです。

また、事業再構築補助金の第12回公募については、以下のような観点にて「令和5年度秋の年次公開検証(「秋のレビュー」)」が行われており、新型コロナウイルス感染症の5類引き下げといった要素も含め、その存在意義を問われている状況下にあります。

  • 新型コロナ対策としての役割は終わりつつあるので、基金のうちそれにかかる部分は廃止し、もしくは抜本的に事業を構築し直すべき。
  • 申請書・財務諸表の精査、四半期ごとのモニタリングといった仕組みが確立されない限り新規採択は一旦停止すべきであり、それができない場合は基金として継続する必要は認められないため、国庫返納して通常の予算措置とすべき。
  • 審査の厳格化とデータの収集の厳格化については、引き続き十分な検討が必要である。

そのため、秋のレビューを踏まえた内容にて公募が開始される見込みとなっており、大幅な変更や予算縮小、公募回数の減少といったことが想定されています。

CONTACT

キャッシュフロー改善を目指して
ワンストップでサポートします。

VIEW MORE

RELATED

  • 省力化・省人化補助金とは?公募時期・対象者・要件を考察

    省力化・省人化補助金とは?公募時期・対象者・要件を考察

  • 【第17次・第18次 ものづくり補助金】事業計画書の記載事項を解説

    【第17次・第18次 ものづくり補助金】事業計画書の記載事項を解説

  • 【18次】ものづくり補助金の公募要領が発表

    【18次】ものづくり補助金の公募要領が発表