2024.04.24
【コロナ回復加速化枠(通常類型)】事業再構築補助金第12回公募の事業類型を解説
令和6年4月23日(火)に発表された事業再構築補助金の第12回公募における「コロナ回復加速化枠(通常類型)」について、補助金額や補助率、対象経費、要件について解説します。
目次
そもそも事業再構築補助金とは
事業再構築補助金については公式サイトにて以下のように説明されています。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。
事業再構築補助金事務局ホームページ
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/saikouchiku.html
なお、第12回公募の事業再構築補助金については、以下の記事にて、全体像を解説していますので、まずはどのような枠があるのかを知りたい方や前提となる補助対象者(中小企業等、中堅企業等)の要件について知りたい方はぜひ併せてご覧ください。
コロナ回復加速化枠(通常類型)とは
今なおコロナの影響を受け、コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者や、事業再生に取り組む事業者の事業再構築を支援する事業類型です。
補助金額
従業員数 5 人以下 | 100 万円~1,000 万円 |
従業員数 6~20 人 | 100 万円~1,500 万円 |
従業員数 21~50 人 | 100 万円~2,000 万円 |
従業員数 51 人以上 | 100 万円~3,000 万円 |
補助率
中小企業者等 | 2/3(補助上限金額の4割までは3/4(※1)) |
中堅企業等 | 1/2(補助上限金額の4割までは2/3(※2)) |
従業員数 51 人以上の場合は 1,200 万円までは 3/4
※2従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、
従業員数 51 人以上の場合は1,200 万円までは 2/3
補助事業実施期間
交付決定日~12 か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から 14か月後の日まで)
事前着手制度について
交付決定前に補助事業を開始された場合は、原則として補助金の交付対象とはならず、第11回公募までは認められていた事前着手制度も完全に廃止される形となります。
しかし、経過措置として、第10回・第11回公募において、物価高騰対策・回復再生応援枠又は最低賃金枠にて不採択となった事業者が、第12回公募において、コロナ回復加速化枠(通常類型)又はコロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請する場合に限り事前着手制度を利用することが可能です。
事前着手制度を活用した場合は、交付決定前であっても、令和4年12月2日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とすることができます。
補助対象経費
建物費
※建物の新築については必要性が認められた場合に限る。
- 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
- 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
- 補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費
- 契約満了に伴う原状回復など、補助事業実施の有無にかかわらず発生する費用は補助対象外となります
- 貸工場・貸店舗等に一時的に移転する際に要する経費(貸工場・貸店舗等の賃借料、貸工場・貸店舗等への移転費等)
- 一時移転に係る経費は補助対象経費総額の1/2を上限として認められます。また、補助事業実施期間内に、工場・店舗の改修や大規模な設備の入替えを完了し、貸工場・貸店舗等から退去することが必要になります。
建物費の注意事項(クリックで展開)
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「建物」、「建物附属設備」に係る経費が対象
- 「構築物」に係る経費は対象外
- 建物の単なる購入や賃貸は対象外
- 入札又は相見積もりが必須
- 「2.建物の撤去に要する経費」、「3.賃貸物件等の原状回復に要する経費」のみの事業計画は補助対象外
- 事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を行うことが必要
- 建物の新築に要する経費は、補助事業の実施に真に必要不可欠であること及び代替手段が存在しない場合に限り補助対象
- 「新築の必要性に関する説明書」を提出が必要
- 補助金交付候補者として採択された場合でも、建物の新築の必要性が認められない際は補助対象外
- 補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは、一切認められない。
- 不動産賃貸等に転用した場合は、目的外使用として、残存簿価相当額等を国庫返納が発生。
機械装置・ システム構築費
- 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
- 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用(リース・レンタル)に要する経費
- 上記のいずれかと一体で行う、改良(新規に購入又は使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うもの)、据付け(新規に購入又は使用される機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なもの)又は運搬に要する経費
- 機械装置又は自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費
機械装置・システム構築費の注意事項(クリックで展開)
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」に係る経費が対象
- 「構築物」、「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」に係る経費は対象外
- 既存の機械装置等の単なる置き換えに係る経費は対象外
- 「借用(リース・レンタル)」は、交付決定後に契約し、補助事業実施期間中に要する経費のみが対象
- 契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分のみが対象
- リースについては、中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に、中小企業等とリース会社が共同申請をする場合には、機械装置又はシステムの購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能
- 3者以上の古物商の許可を得ている中古品流通事業者から、型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象
- 補助対象となる機械装置等は、単価10万円(税抜き)以上のものに限定
- 100万円(税抜き)以上のシステム構築費を計上する場合、実績報告時に、要件定義書(費用見積書を含む)または開発費用算出資料(作業単価、作業工数及び作業時間、固定費用、作業担当者、作業担当者勤務記録等)の提出が必要
技術導入費
- 本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
技術導入費の注意事項(クリックで展開)
- 知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要
- 技術導入費支出先には、専門家経費、外注費を併せて支払うことは不可
専門家経費
- 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
- 学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費
- 以下の謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要
- 価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得・提出する場合であっても上限は1日5万円
<謝金単価>
大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師 | 1日5万円以下 |
准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ: | 1日4万円以下 |
上記以外 | 1日2万円以下 |
専門家経費の注意事項(クリックで展開)
- 旅費は、事務局が定める「旅費支給に関する基準」に準拠
- 専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注費を併せて支払うことは不可
- 応募申請時の認定経営革新等支援機関等に対する経費や事業計画の作成を支援した外部支援者に対する経費は、専門家経費の補助対象外
運搬費
- 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
- 購入する機械装置の運搬料については、機械装置・システム費に含める
クラウドサービス利用費
- クラウドサービスの利用に関する経費
- 専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費
- サーバーの領域を借りる費用(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費
- クラウドサービス利用に付帯する経費
- ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等
クラウドサービス利用費の注意事項(クリックで展開)
- 自社の補助事業以外の他事業と共有する場合は補助対象外
- サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は補助対象外
- サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるものであって、補助事業実施期間中に要する経費のみ補助対象
- 契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分のみが補助対象
- クラウドサービス利用に付帯する経費については、あくまでも補助事業に必要な最低限の経費が補助対象
- パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用は補助対象外
外注費
- 本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
外注費の注意事項(クリックで展開)
- 外注先が機械装置等の設備やシステム等を購入する費用は対象外
- 外注先との書面による契約の締結が必要
- 機械装置等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上
- 専門家経費・技術導入費に該当する経費を外注費として計上することは不可
- 外注先に、技術導入費、専門家経費を併せて支払うことは不可
- 外部に販売・レンタルするための量産品の加工を外注する費用は対象外
- 事業者が行うべき手続きの代行は対象外
- 新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
- 国際規格認証の取得に係る経費
知的財産権等関連経費
知的財産権等関連経費の注意事項(クリックで展開)
- 補助事業の成果に係る発明等ではないものは補助対象外
- 補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合は補助対象外
- 知的財産権の取得に要する経費のうち、以下の経費については、補助対象外
- 日本の特許庁に納付する手数料等(出願料、審査請求料、特許料等)
- 拒絶査定に対する審判請求又は訴訟を行う場合に要する経費
広告宣伝・販売促進費
- 本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費
広告宣伝・販売促進費の注意事項(クリックで展開)
- 補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や会社全体のPR広告に関する経費は対象外
- 補助事業実施期間内に広告が使用・掲載されること、展示会が開催されることが必要
- 相見積書及び価格の妥当性が確認できる証憑の提出が必要
研修費
※上限額 =補助対象経費総額(税抜き)の3分の1
- 本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費
研修費の注意事項(クリックで展開)
- 日常の業務に就きながら行われる教育訓練(OJT)及び補助事業の遂行に必要がない教育訓練や講座受講等は補助対象外
- 教育訓練や講座受講等に係る費用の補助を希望する場合は、事業計画書中に①研修名、②研修実施主体、③研修内容、④研修受講費、⑤研修受講者についての情報を必ず記載
- この5点が明記されていない場合や、不適切な訓練や講座が計上されている場合などは、研修費を補助対象外
- 研修受講以外の経費(入学金、交通費、滞在費等)は補助対象外
- 受講内容を任意に設定できるものであって、料金表が設定されていない教育訓練や講座受講等は、同一条件による相見積もりを複数者から取得することが必要。
- 市場価格とかい離している場合は、補助対象経費外
- 受講内容を任意に設定できるものであって、料金表が設定されていない教育訓練や講座受講等については、研修資料一式(資料が存在しない場合は、録画・録音データ等)を整理し、交付年度終了後5年間保存することが必要
- 教育訓練給付制度など、本事業以外の国や自治体等からの教育訓練に係る補助・給付を重複して補助対象とすることは不可
コロナ回復加速化枠(通常類型)の要件
- 事業再構築要件
- 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
- 金融機関要件
- 事業計画について金融機関等又は認定経営革新等支援機関の確認を受けていること
- ただし、補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
- 付加価値額要件
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
- 以下の(a)(b)のいずれかを満たすこと。
- (a)コロナ借換要件
- コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること
- (b)再生要件
- 再生事業者(Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者又はⅡ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者)であること
- (a)コロナ借換要件
上乗せ措置について
コロナ回復加速化枠(通常類型)を申請する場合、各上乗せ措置の要件を満たすことで、補助金額の上乗せ措置が利用可能です。利用可能な上乗せ措置は、「卒業促進上乗せ措置」と「中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」のいずれか一つに限られますが、それぞれの上乗せ措置に設けられている要件を満たすことで、通常の補助金額とは別に上乗せに記載の補助率で補助を受けることが可能です。
なお、補助事業実施期間は、申請する事業類型に準じる形となります。
<各上乗せ措置の補助率・補助金額>
上乗せ措置 | 上乗せ金額 | 補助率 |
---|---|---|
卒業促進上乗せ措置 | サプライチェーン強靱化枠を除く、 各事業類型の補助金額上限に準じる。 | 中小企業者:1/2 中堅企業等: 1/3 |
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 | 100万円~3,000万円 | 中小企業者等:1/2 中堅企業等: 1/3 |
卒業促進上乗せ措置の要件
- 卒業要件
- 補助事業終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
- 賃金引上要件
- 補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
- 従業員増員要件
- 補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させること
まとめ
コロナ回復加速化枠(通常類型)は、今なおコロナの影響を受け、コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者や、事業再生に取り組む事業者の事業再構築を支援する事業類型となっています。
弊社、G&Nも「認定経営革新等支援機関」として、400社以上の経営支援を行ってきた実績がございますので、もし、「事業再構築補助金についてさらに詳しく知りたい」、「事業再構築補助金の申請を検討している」という事業者様がいらっしゃいましたら、ぜひG&Nにご相談ください。