省力化・省人化補助金とは?公募時期・対象者・要件を考察

省力化・省人化補助金とは?公募時期・対象者・要件を考察

省力化・省人化補助金とも呼ばれている「中小企業省力化投資補助事業」ですが、IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入費用を補助する制度となっており、「ハードウェア版のIT導入補助金」と噂されていることからも注目を集めています。

本記事では「省力化・省人化補助金(中小企業省力化投資補助事業)」について、2月19日時点で判明している情報を基に、公募開始時期や登録される製品カテゴリなどを考察します。

これから省力化のための投資を検討している中小事業者の方々はもちろん、補助対象となる製品カタログに掲載をご検討の機器等メーカーおよび販売代理店等の方々も必見の内容となっています。

省力化・省人化補助金の概要

「経済産業省関係令和5年度補正予算の概要」において、1,000億円の予算とされている「中小企業省力化投資補助事業」となっており、人手不足に悩む中小企業等に対して、IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を導入するための事業費等の経費の一部を補助する制度となっています。

IT導入補助金のように一定の審査を経た製品などが「カタログ」という形で掲載され、掲載されている製品を対象として、機械装置・システム構築費(導入・運用・保守に関する費用)が補助される仕組みになる見込みです。

補助上限金額については以下の通りとされており、最大で3000万円の投資に対して、1500万円の受給が可能な大型補助金です。

従業員数補助上限金額補助率
5名以下200万円(300万円)1/2
6〜20名500万円(750万円)1/2
21名以上1000万円(1500万円)1/2
※賃上げ要件を達成した場合に限り、補助上限額を()内の補助上限金額に引上げ

なお、補助金額の下限は50万円となる見込みで、100万円未満の投資については補助金額が50万円を満たないため、対象外となる可能性が高くなっています。

また、省力化・省人化補助金(中小企業省力化投資補助事業)については、事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)の再編として行われます。

そのため、省力化・省人化補助金は、事業再構築補助金の後継のような立ち位置と考えられています。

他方で、以下のような記載もあるため、従来の事業再構築補助金と同様の補助事業が行われる可能性もありますが、これについては、「令和5年度秋の年次公開検証(秋のレビュー)」を踏まえた内容になる見込みです。

中小企業等事業再構築促進基金を用いて、これまで実施してきた、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、企業の思い切った事業再構築の支援については、必要な見直しを行う。

経済産業省「経済産業省関係令和5年度補正予算の概要」の中小企業省力化投資補助事業の内容より

対象者

省力化・省人化補助金の対象者については、「中小企業・小規模事業者等」とされていることから、原則、中小企業の定義となっている下表のような資本金又は従業員数(常勤)が数字以下となる法人又は個人事業主になると見られます。

そのほか、収益事業を行っている場合に限り、組合やNPOなども補助対象者になる見込みです。

また、省力化・省人化補助金の要件として、「付加価値額要件」があると見られています。

現状想定されている付加価値額要件の具体的な内容については、補助事業終了後1~3年で従業員一人当たり付加価値額が年率平均3%以上増加する見込みの事業計画を策定することであり、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を従業員数で除した数値を向上させられる事業計画とすることがひつようとなります。

そして、前項「省力化・省人化補助金の概要」にて先述しましたが、補助金額については賃上げ要件を達成することで、補助上限金額を引き上げることが可能となる見込みです。

賃上げによる補助上限の変更を適用する場合、申請の際に要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明することが必要となります。

具体的な賃上げ要件の内容(賃上げ幅など)については以下の通りとなる想定で、1及び2の賃上げ要件を満たす賃上げ計画を従業員に表明した上で申請時に宣言を行うことが必要です。

  1. 補助事業終了時点において、事業所内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
  2. 補助事業終了時点において、給与支給総額を年率平均6%以上増加させること

対象経費

対象経費については、ものづくり補助金や事業事業再構築補助金などとは異なり、IT導入補助金のように「カタログに掲載されている製品の導入費用」が対象となります。

また、IT導入補助金では、一部導入支援に関するオプションなども対象経費として認められているため、省力化・省人化補助金についても同様にカタログに登録されている製品(機器)の導入に関連する付随費用も一部対象となる可能性があります。

なお、「カタログに掲載されている製品」とは、工業会および経済産業局の審査・承認を経てシステムに登録される特定の製品カテゴリの製品となります。

中小企業省力化投資補助事業において、補助対象とする製品として登録(カタログに掲載)される製品の種類のことであり、一部では機器カテゴリとも表記されているものです。

令和6年2月19日現在、どのような製品を補助対象の製品にするのかについては検討中の段階で、製品の審査を行う工業会等に対して意見照会をしている状況となっています。

そして、ロボットアームなどの製品カテゴリは300種程度となる見込みであり、各カテゴリで100種の製品が登録される想定となっています。
加えて、補助対象となる設備に対して、メーカーや販売代理店などの販売者が掲載される形となります。

従って、省力化・精進化補助金を利用して設備導入を検討している中小事業者においては、カタログに掲載されている中から、自社の省力化や省人化に資するであろう製品及び販売者を選定の上、申請する流れになると見込まれます。

省力化・省人化補助金の申請・活用について

省力化・省人化補助金は、前項にて解説した通り、「カタログ」に掲載されている製品の導入による省力化や省人化、それに伴う付加価値の向上(労働生産性向上)などを支援するものとなっています。

そのため、カタログに掲載する省力化支援事業者と機器の選定が行われた後に、公募がなされる予定であり、公募開始以降に申請受付が始まる形となります。また、平行して、省力化支援事業者(製品・機器の販売者)と機器(製品カテゴリのいずれかに含まれる製品)のカタログ掲載・掲載に際しての審査及び受付も行われる形となる見込みです。

なお、原則として、申請やその後の実績報告等は電子申請で行うとされており、紙での申請は認められないため、申請に必要な「gBizID」の取得が必須となります。また、取得までに要する期間として2週間程度が目安とされているため、もし取得していない場合には、早めの準備・取得申請が推奨されます。

また、公募開始以降に申請をして採択された場合、ものづくり補助金などとは異なり、別途交付申請をするなどの対応は必要なく、IT導入補助金同様に「採択=交付決定」となる見込みです。

省力化・省人化補助金の採択(交付決定)を受けた後は、実際に設備の導入を行う「補助事業の実施期間(約11ヶ月程となる見込み)」というフェーズになり、発注〜納品〜検収〜支払が完了した後に、「実績報告」を行います。その後、実績報告の内容が承認されると補助金額が確定し、補助金の請求・受給が可能になります。

そのほか、補助金の受給後には、付加価値額要件(全事業者が対象)や賃上げ要件(大幅な賃上げによる補助上限金額の引上げを行った事業者のみが対象)の達成状況や効果測定のための報告作業(約5年間)が必要となる見込みです。

この報告で未達であった場合には補助金の返還などもあるため、事業計画の策定の際には、実現可能性も含めた検討が必要となります。

公募開始時期等のスケジュール

公募開始時期については、事務局の公募説明資料(省力化のための設備投資に対する補助を受けたい事業者ではなく、審査・運営を行う事務局の公募です)によると、令和6年3月下旬に公募要領の公開(公募開始)、令和6年4月以降に申請受付開始が予定されています。

省力化・省人化補助金の公募スジュールのイメージ
引用元:中小企業基盤整備機構「「中小企業省力化投資補助事業」に係る事務局公募説明会」

最初の公募開始以降は、令和8年9月下旬頃までにかけて、15回程度の公募が実施されると見られており、各公募回における採択者及び補助金額によって変動はあるものの、累計で120,000事業者が採択される見込みとなっています。

詳細な要件やスケジュールについては、変動する可能性がありますが、省力化や省人化を行いたいと考えている事業者様においては、事業実施期間中に「発注〜納品〜検収〜支払」及び「実績報告」が可能なスケジュールとなるよう、カタログに掲載されている製品の選定と並行して、導入時期から逆算した公募回での申請準備をしていくことが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

事業再構築補助金が再編されて新設される「省力化・省人化補助金(中小企業省力化投資補助事業)」は、今後の人手不足等の問題に対処していくために非常に有効な補助金制度となっています。

他方で、導入を検討している設備の種類や金額、導入の目的、導入に際してのカスタマイズの有無によっては、ものづくり補助金の省力化枠も利用できる可能性が高くなっています。

株式会社G&Nでは、「これから〇〇に取り組んでいきたい」という事業者様の要望に合わせて、活用可能な中小企業施策(補助金・助成金・法認定制度・融資制度など)のご相談・ご提案を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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