【最大15億円補助】省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金とは?制度の概要を解説

【最大15億円補助】省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金とは?制度の概要を解説

脱炭素化の流れが加速する中で、工場・事業所などを有する全ての事業者には、省エネ化・電化・需要最適化といった構造転換が強く求められています。

こうした動きを支援するため、経済産業省が実施する「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」は、企業による大規模な省エネ・脱炭素投資を強力に後押しする制度です。

この補助金は、「工場・事業場型」「電化・脱炭素燃転型」「エネルギー需要最適化型」の3つの申請類型が設けられており、対象となる取組や補助内容も多岐にわたります。

本記事では、それぞれの申請類型の違いや補助対象、補助額・補助率、そして申請時の注意点まで、実務的な観点でわかりやすくまとめました。

高額な設備投資を計画している企業の皆様は、ぜひ活用を検討してみてください。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金とは

「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(以下、本補助金)」とは、先進的な省エネ設備や、工場・事業場に合わせた特注品、汎用的な省エネ設備、電化や脱炭素目的の燃転を伴う設備等の更新費用の一部を支援する補助金です。

大きく分けて以下の3つの申請類型があり、各申請類型を組み合わせた申請も可能です。

①工場・事業場型
生産ラインの更新等、工場・事業場全体で省エネを図る設備等の導入を支援します。

②電化・脱炭素型
化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入を支援します。

③エネルギー需要最適化型
事務局が予め認定した「エネマネ事業者」が提供するEMS(エネルギーマネジメントシステム)を用いて、より効率的に省エネルギー化を図り、エネルギー需要の最適化を図る事業を支援します。

補助金額・補助率

■補助金額

申請類型補助上限金額
①工場・事業場型先進枠15億円/事業全体(20億円/事業全体)
一般枠15億円/事業全体(20億円/事業全体)
中小企業投資促進枠15億円/事業全体(20億円/事業全体)
②電化・脱炭素燃転型3億円/事業全体
③エネルギー需要最適化型1億円/事業全体

※①工場・事業場型では、「非化石要件(化石エネルギーを非化石エネルギーに転換し、省エネを図る場合の要件)」を満たす場合に、補助上限金額を()内の数値に引き上げることが可能です。

本要件は、省エネ法の改正により今年度から新たに設けられたものであり、非化石燃料設備の導入により、事業実施前のエネルギー使用量に占める化石エネルギーを非化石エネルギーへ転換し、省エネを図る場合に適用されます。

下記の非化石化の指標と、後述する「省エネルギー効果」の数値の合計値が基準値以上となる場合に、補助上限額の引き上げが可能です。

※単に「省エネルギー効果」を満たすのみでは引上げ対象とならないため、注意が必要です。

省エネ補助金の「非化石化要件」における非化石化の指標

■補助率

申請類型補助率
①工場・事業場型先進枠中小企業等:2/3以内
大企業等 :1/2以内
一般枠中小企業等:1/2以内
大企業等 :1/3以内
中小企業投資促進枠中小企業等:1/2以内
大企業等 :対象外
②電化・脱炭素燃転型1/2以内
③エネルギー需要最適化型中小企業等:1/2以内
大企業等 :1/3以内

補助対象者

本補助金では、以下の「全事業者共通の要件」を満たしつつ、「中小企業者(中小企業や個人事業主等)」「中小企業団体等」「その他の事業者」のうち、自社が該当する項目に示す要件を満たす事業者が補助対象となります。

全事業者共通の要件(クリックで詳細表示)
  • 国内において事業活動を営んでいる法人及び個人事業主であること。
  • 年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kl以上である事業者(特定事業者)は、省エネ法に基づき中長期計画書及び定期報告書を提出していること。
  • 本事業で導入する補助対象設備の所有者であり、その補助対象設備の処分制限期間中、継続的に使用すること。
  • 本事業で導入する補助対象設備の所有者であり、直近の年度決算において債務超過でないこと。
  • 成果報告時に、事業区分ごとに定める期間において、補助対象設備のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告できること。
中小企業者の要件(クリックで詳細表示)

下表に示す資本金額又は常時使用する従業員数のいずれかを満たす法人(株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合弁会社等)又は個人であること。

業種資本金額常時使用する従業員数
製造業、その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下

なお、個人事業主の場合は、青色申告者であり、確定申告書と所得税青色申告決算書の写しを提出できること(電子申請の場合は受信通知を含む)。

ただし、以下のいずれかに該当する「みなし大企業」は除く。

  • 資本金額又は出資額が5億円以上の法人に、直接又は間接に100%の株式を保有される中小企業・小規模事業者
  • 交付申請時において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者
中小企業団体等の要件(クリックで詳細表示)

設立の許可証を提出できる、以下のいずれかに該当する法人であること。

  • 商店街振興組合法に基づき設立した商店街振興組合、商店街振興組合連合会
  • 中小企業等組合法に基づき設立した事業協同組合、事業協同商組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合
  • 中小企業団体の組織に関する法律に基づき設立した協業組合、商工組合、商工組合連合会
その他の事業者の要件(クリックで詳細表示)

■その他中小企業等

会社法上の会社(株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合名会社等)以外の法人(社会福祉法人、医療法人、学校法人、特定非営利活動法人等)であり、次のいずれかに該当する事業者であること

  • 以下のいずれかに該当する「みなし大企業」である
    • 資本金額又は出資額が5億円以上の法人に、直接又は間接に100%の株式を保有される中小企業・小規模事業者
    • 交付申請時において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者
  • 従業員数が300名超えの法人である

■大企業

会社法上の会社(株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合名会社等)であり、「中小企業者」「みなし大企業」のいずれにも該当しない法人であること
なお、大企業の場合は、以下のいずれかの要件を満たすこと。

  • 中長期計画書の「ベンチマーク指標の見込み」に記載された2030年度(目標年度)の見込みがベンチマーク目標値を達成する事業者
  • 省エネ法の事業者クラス分け評価制度において『Sクラス』または『Aクラス』に該当する事業者

補助対象となる事業内容

エネルギー管理を一体で行っている工場・事業場等において実施する、以下の申請類型ごとに定められた設備投資を行うことが条件となっています。

①工場・事業場型

この申請類型には「先進枠」「一般枠」「中小企業投資促進枠」の3つがあり、それぞれ以下の設備投資が対象となっています。

■先進枠

資源エネルギー庁に設置された「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」において決定した審査項目に則り、事務局が設置した外部審査委員会で採択された「先進設備・システム」への更新等を行う事業

■一般枠および中小企業投資促進枠

機械設計が伴う設備又は事業者の使用目的や用途に合わせて専用設計する設備(オーダーメイド設備)や、事務局が予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たす高効率な設備として登録・公表した以下の15種類の「指定設備」への更新を行う事業
※オーダーメイド設備と指定設備とを組み合わせた申請も可能です。

  • 高効率空調
  • 産業ヒートポンプ
  • 業務用給湯器
  • 高性能ボイラ
  • 高効率コージェネレーション
  • 低炭素工業炉
  • 変圧器
  • 冷凍冷蔵設備
  • 産業用モータ
  • 制御機能付きLED
  • 工作機械
  • プラスチック加工機械
  • プレス機械
  • 印刷機械
  • ダイカストマシン

②電化・脱炭素燃転型

化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴い、なおかつ事務局が予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たす高効率な設備として登録・公表した以下の5種類の「指定設備」への更新を行う事業

  • 産業ヒートポンプ
  • 業務用給湯器
  • 高性能ボイラ
  • 高効率コージェネレーション
  • 低炭素工業炉

③エネルギー需要最適化型

事務局が設置した外部審査委員会で審査・採択のうえで公表しているエネマネ事業者から、以下の5種類のエネルギーマネジメントシステム(EMS機器)を導入し、EMS機器を活用した省エネの中長期計画を作成するとともに、導入後も成果の公表を行うことによって、効果的にエネルギー使用量削減及びエネルギー需要最適化を図る事業

EMS機器の分類機能の詳細
見える化型EMS(伴奏型)エネルギー使用量の計測・見える化機能を有したEMS
見える化型EMS(高機能型)エネルギー使用量を計測し、分析した結果をダッシュボード上で見える化するなど、気付きやアドバイスを行う機能を有した、事業者が自ら省エネ活動が展開できるEMS
制御型EMSエネマネ事業者のエネルギー管理支援に必要な計測・見える化・制御機能およびセンターシステムを有したEMS
高度型EMS(オートチューニング型)AIで実際の稼働状況を学習し自動でチューニングする機能を有するEMS
高度型EMS(モデル予測制御型)モデル予測制御により最適化された運転を実現するEMS

申請要件

申請においては、省エネ設備への更新やEMS機器の導入を通じて、以下に示す要件をそれぞれ満たす必要があります。

①工場・事業場型

「先進枠」「一般枠」「中小企業投資促進枠」のそれぞれにおいて、主に以下に示す要件を満たす必要があります。

■先進枠

  • 投資回収年数が5年以上となる事業であること
  • 以下の「省エネルギー効果の要件」のうちいずれか1つを満たすこと
    • 計画省エネルギー率+非化石割合増加率:30%以上
    • 計画省エネルギー量+非化石使用量  :1,000kl以上
    • 計画エネルギー消費原単位改善率   :15%以上

■一般枠

  • 投資回収年数が5年以上となる事業であること
  • 以下の「省エネルギー効果の要件」のうちいずれか1つを満たすこと
    • 計画省エネルギー率+非化石割合増加率:10%以上
    • 計画省エネルギー量+非化石使用量  :700kl以上
    • 計画エネルギー消費原単位改善率   :7%以上

■中小企業投資促進枠

  • 投資回収年数が3年以上となる事業であること
  • 以下の「省エネルギー効果の要件」のうちいずれか1つを満たすこと
    • 計画省エネルギー率+非化石割合増加率:7%以上
    • 計画省エネルギー量+非化石使用量  :500kl以上
    • 計画エネルギー消費原単位改善率   :5%以上

②電化・脱炭素燃転型

省エネルギー効果の要件はありませんが、申請者自身で独自に省エネ計算を行い、省エネルギー量を算出して申請する必要があります。

③エネルギー需要最適化型

EMS機器を活用した以下の省エネ計画の作成・成果報告が必要です。

  • EMS機器の導入によって、計画省エネルギー率を2%改善できること
  • 具体的な省エネの取組を3項目以上設定し、達成に向け取り組むこと

省エネ要件とは、省エネ設備の導入前後において、事業所におけるエネルギー使用量の削減効果が一定の基準を満たすことを求める要件です。計算方法は①事務局が指定する計算式を用いた計算と、②事業者が自ら決定した計算方法の2種類があり、省エネルギー効果の計算過程や計算結果を申請書に明記する必要があります。

省エネ補助金における「省エネルギー効果」について
省エネ補助金における「省エネルギー効果」について

補助対象経費

補助事業の実施に必要不可欠な以下の経費が補助対象となります。
②電化・脱炭素燃転型では、「設計費」は補助対象とならない他、工事費に関しても条件がありますので注意が必要です。

経費項目詳細
設計費

補助事業の実施に必要な機械装置、建築材料等の設計費、システム設計費等

設備費補助事業の実施に必要な機械装置の導入、製造(改修)
工事費補助事業の実施に必要不可欠な工事に要する経費
※②電化・脱炭素燃転型では、中小企業のみ補助対象

以下の経費は補助対象外となるため注意が必要です。

  • 事務局が補助対象外と判断した機器、設備、構造物、基礎工事等に係る経費
  • 補助金交付決定が行われる以前に係る経費(事前調査費等)
  • 建屋等の建築物・外構工事に係る経費、及び事業に直接関係のない工事に係る費用
  • 既存設備・システムの解体・撤去・移設に係る経費
  • 消費税及び地方消費税

補助事業のスケジュール

省エネ補助金の第3回募集スケジュール
省エネ補助金の第3回募集スケジュール

■交付申請

本補助金の第3回公募の申請締切日は9月中旬(予定)となっています。
締切までに以下の準備をすべて完了させる必要があります。

  • 交付申請書の作成
  • 省エネルギー効果の計算
  • 謄本や決算書等の証憑書類の準備

■審査

提出した書類をもとに、「補助対象者・補助対象事業の要件を満たしているか」「事業計画の確実性・継続性があるか」「省エネルギー効果が適切であるか」等の観点から審査が行われます。

※必要に応じて個別ヒアリングが実施されることもあります。

■交付決定

審査の結果「採択」となった事業者には、事務局より「交付決定通知書」が送付され、補助金の交付決定となります。交付決定通知を受けた日から、補助事業の実施が可能となります。

補助事業実施

交付決定通知日(11月中旬予定)〜2026年1月31日までが補助事業実施期間となります。

ただし、2026年1月31日までの事業完了が難しい場合には、交付決定時に「複数年度事業」として申請を行うことによって、最長で2029年1月31日まで、補助事業実施期間を延長して交付決定を受けることができます。

※交付決定後の補助事業実施期間の変更は認められないため、注意が必要です。

■実績報告

補助事業完了後30日以内、又は、単年度では2026年2月5日のいずれか早い日までに、以下の準備を行い実績報告書の提出をする必要があります。

  • 発注書、納品書、検収書、請求書等の契約・支払の証憑を準備
  • 導入前後における省エネルギー効果の検証
  • 実績報告書の作成

複数年度では各事業年度ごとの「補助事業年度末実績報告書」を翌年4月10日までに提出する必要があることに加えて、最終年度の補助事業完了後30日以内、又は当該年度1月末(最長で2029年1月31日まで)のいずれか早い日までに、最終的な実績報告書の提出をする必要があります。

提出した実績報告書の内容をもとに事務局による確定検査が行われ、補助事業が適切に実施完了していることが確認された後、事務局より補助金額の確定通知書が送付されます。

期限までに実績報告書が提出されなかった場合、交付決定が取り消され補助金の受給が出来なくなります。

また、提出した実績報告書の内容をもとに行われる確定検査で納品物の確認ができない場合や、事業計画と異なる場合、検査を拒否する場合は、補助金減額や交付決定取り消しの可能性があるため注意が必要です。

■精算払請求

実績報告の完了後には、精算払請求を行う必要があります。
精算払請求書を提出後、事務局より補助金の交付が実施されます。

■成果報告

補助金の受給後も、事業完了日からエネルギー使用量等のデータを取得し、成果報告として、翌年4月〜3月の省エネルギー実績についてとりまとめ、翌々年度5月末日までに事務局に報告を行う必要があります。

①工場・事業場型では、1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果の報告が必要です。

②電化・脱炭素燃転型では、導入した設備の最低1週間以上のエネルギー使用量の実測データ等を用いて省エネルギー効果の報告が必要です。

③エネルギー需要最適化型では、省エネ量、省エネ推進体制、実施した省エネ対策の報告が必要です。

成果報告時の省エネルギー効果の実績値が、交付決定時の計画値に対して未達の場合や、データ取得を行っていなかった場合は、支払済みの補助金の返還となる場合があるため、適切な管理が求められます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」は、中小企業・大企業問わず多くの事業者が活用可能な制度となっており、補助対象となる設備の範囲が非常に広いことが特徴となっています。

ただし、補助金の受給までに様々なプロセスがあることに加えて、省エネルギー効果に関する専門的な知識や、エネルギー使用状況の適切な管理が求められます。

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