【2025年新設】中小企業成長加速化補助金の第1回公募の詳細を解説

【2025年新設】中小企業成長加速化補助金の第1回公募の詳細を解説

2025年5月より、新設の「中小企業成長加速化補助金」が公募を開始しました。最大5億円の補助上限額を誇り、大規模な設備投資や新規事業の立ち上げを強力にサポートする制度です。本記事では、成長加速化補助金の概要から申請要件、申請時の注意ポイントまでをわかりやすく解説します。大規模投資を検討中の経営者・事業責任者の方は、ぜひ最後までご一読ください。

中小企業成長加速化補助金とは

本補助金は、賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい売上高100億円超を目指す中小企業の大胆な投資を促進する制度です。

2025年に新設された制度であり、主に以下のような取組を行う事業者を支援する内容となっています。
100億円宣言を行う
・投資額1億円以上の取組
・一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画の策定

補助金額・補助率

補助金額5億円
補助率1/2

「100億宣言」とは、補助金を申請する企業が、売上高100億円を将来的に目指すことを、経営者自身が中小機構(中小企業基盤整備機構)を通じて公表する成長目標の宣言制度です。

この宣言は、単なる目標設定ではなく、その実現に向けた事業計画・具体的な取組内容を示した上で、ポータルサイトに公開されます。

補助対象者

補助対象者は、日本国内に本社および事業実施拠点を有し、一定の規模・成長意欲を持つ中小企業者等です。また、補助事業の遂行能力や賃上げ計画の策定など、通常の補助金よりも踏み込んだ要件が求められます。

中小企業者の定義と法人形態

中小企業者
従業員数や資本金の要件を満たす、会社法人や個人事業主が補助対象となります。(クリックで詳細表示)

<対象となる法人格>
・株式会社
・有限会社
・合同会社
・合資会社
・合弁会社
※個人事業主および法人格のない団体は対象外

<資本金又は従業員数の要件>

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業又は情報処理サービス業、その他の業種(下記以外)3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
旅館業5,000万円200人

特定事業者の一部
上記の中小企業者の要件に該当しない場合でも、以下のような事業協同組合、商店街振興組合、酒造組合などの組織形態で、構成員の2/3以上が中小企業者に相当する場合は対象となります。(クリックで詳細表示)
名称補助対象となる条件
企業組合、協業組合、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、
商工組合、商工組合連合会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会、
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
特に構成員に関する条件はありません。
組織形態のみで補助対象となります。
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業連合会構成員の2/3以上が
・資本金5,000万円以下(卸売業は1億円以下)
・従業員50人以下(卸売・サービス業は100人以下)
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会構成員の2/3以上が
・資本金3億円以下
・従業員300人以下
酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会構成員の2/3以上が
・資本金5,000万円以下(酒類卸売業は1億円以下)
・従業員50人以下(酒類卸売業は100人以下)
内航海運組合、内航海運組合連合会構成員の2/3以上が
・資本金3億円以下
・従業員300人以下
技術研究組合構成員の2/3以上が、中小企業者・企業組合・協業組合に該当すること

  • 財団法人(公益・一般)、社団法人(公益・一般)、医療法人、
    社会福祉法人、任意団体などは補助対象外です。
  • みなし大企業・みなし同一法人についても補助対象外です。
  • なお、本補助金は複数の中小企業者による共同申請も可能です。

    ただし、すべての申請者が補助対象要件を満たしていること、
    事業が一体的に実施されることなど、一定の条件があります。

企業に求められる体制・経営条件

補助金の申請にあたっては、単に中小企業者の定義を満たすだけでは不十分で、補助事業を円滑かつ確実に遂行できる経営体制と条件を備えている必要があります。
中でも、売上高が10億円以上であることが、本補助金における大きな特徴の一つです。

  • 売上高が10億円以上100億円未満であること
  • 本社および補助事業の実施場所が日本国内にあること
  • 確定申告済みの直近3年分の各年度における課税所得の年平均が15億円を超えていないこと

100億宣言

本補助金では、売上高の現状に加えて、企業が「将来的に売上高100億円を目指す」という意思を表明する「100億宣言」を、提出・ポータルサイトで公表する必要があります。

この宣言は、単なる目標設定にとどまらず、本補助金が支援対象とする「成長を目指す中堅企業像」に合致することを示します。そのため、提出していない場合は申請自体が受け付けられません

👉 100億宣言の詳細については、後半で詳しく解説します。

賃上げ計画

本補助金では、補助事業終了後の3年間で一定以上の賃上げを実現することが必須です。
申請時に賃上げ計画を立て、社内に告知し、実行する必要があります。

賃上げの基準は、以下のいずれかで評価されます

  • 給与支給総額
  • 1人当たりの給与支給総額(従業員+役員)

⚠達成できなかった場合は、補助金の一部または全額返還が求められる可能性があります。

👉 賃上げ目標の詳細については、後半で詳しく解説します。

補助事業の要件

補助金の対象となるためには、次の要件をすべて満たしている必要があります

投資額が1億円以上であること

  • 建物費
  • 機械装置費
  • ソフトウェア費

外注費や専門家経費は含まれません。

<投資効果が見込める「成長投資」であること>

補助対象となるのは、生産能力や事業の拡張に結びつく前向きな投資です。
工場、物流拠点などの新設・増築、イノベーション創出に向けた設備の導入

以下のようなケースは補助対象外です

  • 老朽設備の入れ替えなど、単なる更新投資
  • 性能向上や新機能の追加が見込めないもの

補助事業を日本国内で実施すること

  • 事業の実施場所は国内に限られます
  • 拠点が複数ある場合でも、「事業内容が一体的であること」が求められます
  • 原則として、交付決定後の事業実施場所の変更は認められません

100億宣言について

「100億宣言」とは、将来的に売上高100億円を目指すことを、経営者が公式に表明する仕組みです。
中小企業基盤整備機構が運営する100億企業成長ポータルに宣言内容を公表することで、成長に向けた意思と計画を対外的に示します。

単なるスローガンではなく、実現に向けたプロセスや取組内容を具体的に示すことが求められます
本補助金では、この宣言の提出・公開が申請の必須条件です。

宣言には以下のようなメリットもあります。

賃上げ計画について

本補助金では、補助事業の終了後に従業員への持続的な賃上げを行うことが求められます。
具体的には、補助事業が終わった年から3年間にわたり、一定の賃上げを継続して実現することが条件です。

賃上げの達成度は、以下のいずれかの指標で評価されます

  • 給与支給総額(会社全体で1年間に支払った給与の合計)
  • 1人あたりの給与支給総額(従業員や役員1人あたりの平均額)

このうちどちらかを申請時に選び、その年平均の上昇率が、補助事業を行う都道府県の「最低賃金の平均上昇率(=基準率)」以上である必要があります。

※ 一度選んだ指標は、あとから変更できません。

中小企業成長加速化補助金 公募概要資料より抜粋

地域ごとの基準率(最低賃金の年平均上昇率)

賃上げ要件で求められる「基準率」は、補助事業を実施する都道府県ごとに異なります
以下は、達成に必要なの最低賃金の年平均上昇率を都道府県別にまとめた一覧です。

地域差が大きく、都市部より地方の方が高い水準を求められる場合もあります。
この表をもとに、申請時に「現実的かつ達成可能な賃上げ計画」を設計しましょう。

中小企業成長加速化補助金 公募要領より抜粋

申請時に掲げた賃上げ目標を3年間で達成できなかった場合、次のような対応が発生します。

  • 未達成率に応じて補助金の返還を求められる
  • 基準年度の給与支給額が直近の実績より低い場合も返還対象に
  • 従業員への目標表明が未実施だった場合、交付決定の取消となる可能性もあり

補助対象経費

補助金の対象となる経費は、主に以下の5つに分類されます。
本補助金では、特に「建物費・機械装置費・ソフトウェア費」の合計で1億円(税抜)以上の投資が要件となります。

補助対象となる主な費目

  • 建物費:事務所・工場・倉庫などの建設・改修・取得費
  • 機械装置費:測定機器や生産設備の購入・設置費(単価100万円以上)
  • ソフトウェア費:業務システム、クラウド利用料など(単価100万円以上)
  • 外注費:設計や加工などを外部に委託した際の費用
  • 専門家経費:外部の専門家への相談・指導費(上限:1日5万円)

補助対象となる主な費目

  • 補助上限額:5億円
  • 補助率:補助対象経費の2分の1以内
    自己負担額は最低でも5,000万円以上となります
補助対象経費と補助額
本補助金では、一般的な補助金では対象外となることが多い「建物費」や一部の外注による広告・設計業務等の費用についても、補助対象経費として認められています。

特に、事務所・生産施設などの建物の建設・改修・取得に係る費用(構築物を含む)が対象となる点は、本制度の大きな特徴のひとつです。

本補助金では「補助事業実施期間中に支払った補助対象経費」に対して、補助金の受給が行われます。もし採択発表・交付決定より前に既に支払いを行ってしまっている場合、当該経費については、補助対象外となってしまいます。

また、支払は銀行振込の実績でのみ確認されます。クレジットカード決済や現金・手形払い等については、補助対象外となってしまいます。

補助事業のスケジュール

補助金の受給までのスケジュールは以下の通りとなります。

申請

補助金の募集は6月頃に予定されています。申請締切日6月9日(月)18時までに、以下の準備・作成を全て行い、申請作業を行う必要があります。

<申請における準備事項>
・GbizIDプライムの取得
・事業計画書の作成
・謄本、決算書、労働者名簿等の書類準備

審査

本補助金では、2段階の審査が行われます。

  • 一次審査(書面):申請書類の形式要件・実現可能性を評価
    ※書類不備は審査対象外
  • 二次審査(プレゼン):通過者のみ対象。7月下旬〜8月下旬に、外部有識者による質疑応答を含むプレゼンを実施。
    経営者本人の登壇が必須

審査のポイントと評価される例

① 経営力

中長期で売上高100億円以上を目指す、実行可能な成長戦略があるか

  • 高い成長率や付加価値増加が示されているか
  • 補助事業が中長期戦略の中で不可欠な位置づけか
  • 市場ニーズ・競合との差別化が明確か
  • 成果目標や実施体制が具体的に定義されているか

評価される例

取り組み内容評価の理由
海外展開による売上拡大海外売上比率を明記、現地パートナーも確保
DXによるサービス革新業務モデルの転換と新市場創出まで言及
M&Aによる事業拡張統合後の事業で補助事業が中核機能を担う

② 波及効果

地域経済や社会的課題への貢献があるか

  • 賃上げや従業員還元など社内への波及
  • 地元調達や地域資源の活用
  • CSR(えるぼし、BCP等)の取り組みがあるか

評価される例

取り組み内容評価の理由
賃上げ率5%以上の制度改革モデル設計・仕組みにより継続的な還元が可能
地元工場への機械導入雇用創出+地元企業との連携を実現
女性活躍推進認定取得と管理職登用目標を両立

③ 実現可能性

体制・資金・スケジュールなどの実行力

  • 実行部隊が整い、すぐに投資が開始できるか
  • 健全な財務と現実的な資金計画があるか
  • 金融機関からの支援・担保があるか

評価される例

取り組み内容評価の理由
初期工程を事前に着手済み用地確保・発注準備が整っている
財務健全性が高い自己資本比率や収益性が平均を上回る
金融機関からの長期融資銀行確認書+プレゼン同席で信頼性確保

交付申請

令和7年9月上旬頃を目安に採択発表があります。採択を受けた事業者は、遅くとも採択発表後2ヶ月後までに、以下の準備を行い交付申請手続きをする必要があります。

<交付申請における準備事項>
・採択後に行われる説明会に参加
・見積書と相見積書の取得

採択された場合、事務局が実施する説明会に参加することが必須となっています。

説明会は複数回開催されますが、いずれの実施回にも参加しなかった場合、説明会最終開催日をもって、自動的に採択が無効となりますので注意が必要です。

事業実施期間

交付申請を行い、申請内容に問題がなければ交付決定が通知され、交付決定日から24ヶ月以内が事業実施期間となります。

事業実施期間の最終日が補助事業完了期限日となり、それまでに補助事業の発注、納品、検収、支払に加えて、後述する報告作業も全て完了する必要があります。

実績報告

補助事業完了後30日以内、又は補助事業完了期限日までに、以下の準備を行い実績報告書の提出をする必要があります。

<実績報告における準備事項>
・発注書、納品書、検収書、請求書等の契約・支払の証憑を揃える
・納品した設備やシステムの仕様や外観等の画像・書類を揃える
・実績報告書の作成

期限までに実績報告書が提出されなかった場合、交付決定が取り消され補助金の受給が出来なくなります。

また、提出した実績報告書の内容をもとに、事務局による実地検査が行われます。検査で納品物の確認ができない場合や、事業計画と異なる場合、検査を拒否する場合は、補助金減額や交付決定取り消しの可能性があるため注意が必要です。

事業化状況報告等

実績報告書の提出から約2ヶ月後を目途に、補助金の交付・受給となります。補助事業を完了した日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間、事業の状況や付加価値額要件、賃上げ要件、事業場内最賃水準要件の達成状況について、報告を行う必要があります。

特に、報告時に要件の未達がある場合には、補助金の返還が求められる場合があるため、注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
中小企業成長加速化進出補助金は、「大規模な投資の挑戦」を検討されている事業者様にとって、非常に有効な支援制度です。
ただし、制度の活用には、複数のステップや満たすべき要件があり、スムーズな申請のためには専門的な知識と事前準備が求められます。

・申請したいが何から取り掛かるべきか相談したい
・申請のサポートを依頼したい
・自社の事業が対象となるか確認したい

株式会社G&Nでは、こうしたご相談に対して丁寧かつ実践的なサポートを行っております。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

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