【2025年新設】新事業進出補助金の第1回公募の詳細を解説

【2025年新設】新事業進出補助金の第1回公募の詳細を解説

2025年6月より、新事業進出補助金の募集が開始されます。今年度新設された補助金であり、多くの事業者の申請が集中することが予測されます。そこで今回は、新事業進出補助金の詳細や申請の注意事項をまとめました。新事業進出補助金について興味のある方もしくは申請を検討されている方はぜひ最後までご覧ください。

新事業進出補助金とは

本補助金は、既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援し、新規事業への挑戦を促進する制度です。

2025年に新設された制度であり、主に以下のような取組を行う事業者を支援する内容となっています。
・新規性を有する製品やサービスの開発
・既存の事業領域とは異なる、新たな市場・顧客層の開拓に向けた取組

補助金額・補助率

補助金額従業員数20人以下2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上7,000万円(9,000万円)
補助率1/2

※()内は「賃上げ特例要件」を満たす場合に適用される補助上限額です。

補助事業実施期間内に以下の「賃上げ特例要件」を満たすことができる場合には、補助上限額を引き上げることができます。
・給与支給総額を年平均6.0%以上増加
・事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げる
ただし、未達の場合には、引き上げた金額分の補助金返還が求められますので注意が必要です。賃上げ特例の適用は任意のため、自社で適用可能かどうか事前によく確認しましょう。

補助対象者

主な補助対象者は、日本国内に本社及び事業実施場所を有する、以下に該当する法人・個人となります。

中小企業者
従業員数や資本金の要件を満たす、会社法人や個人事業主が補助対象となります。(クリックで詳細表示)

<対象となる法人格>
・株式会社
・有限会社
・合同会社
・合資会社
・合弁会社
・個人事業主

<資本金又は従業員数の要件>

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業又は情報処理サービス業、その他の業種(下記以外)3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
旅館業5,000万円200人


▶「中小企業者」以外の法人

従業員数が300人以下の、企業組合や一般社団法人・一般財団法人(非営利型法人のみ対象)、農事組合法人、労働者協同組合、その他公益法人等とみなされる法人についても補助対象となります。

特定事業者の一部
上記の中小企業者の要件に該当しない場合でも、資本金額又は出資総額が10億円未満であり、なおかつ従業員数が下表の数値未満となる事業者に関しては補助対象となります。(クリックで詳細表示)
業種常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、その他の業種(下記以外)500人
卸売業400人
サービス業又は小売業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)300人

また、下記の組合や連合会に関しても、資本金額又は出資総額が10億円未満であり、なおかつその直接又は間接の構成員の3分の2以上が、常時、下表の数値以下の従業員を使用する場合には補助対象となります。

名称常時使用する従業員数
酒造組合、酒造連合会、酒造組合中央会
内航海運組合、内航海運組合連合会
500人
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
酒販組合、酒販連合会、酒販組合中央会
300人
上記のうち卸売業を主たる事業とするもの400人

ただし、仮に上記の補助対象者に該当する場合でも、以下に該当する場合には補助対象外となるため注意が必要です。
・申請締切日(7月10日)から過去16ヶ月以内に、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」の採択事業者となっている
・「事業再構築補助金」の採択取消、交付決定取消、補助金返還を受けた事業者
・応募時点で従業員数0人の事業者
・創業後1年に満たない事業者
・みなし大企業に該当する事業者

補助事業の要件

以下の要件を満たす3~5年の事業計画を立て、達成に向けた事業実施に取り組むことが必要です。

要件詳細
新事業進出要件新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること
付加価値額要件補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
賃上げ要件

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと
・一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、都道府県別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させること
・給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加させること

事業場内最賃水準要件補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
ワークライフバランス要件次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
金融機関要件補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること

「賃上げ要件」「事業場内最賃水準要件」については、未達の場合に補助金返還が求められるため注意が必要です。

<「賃上げ要件」未達の場合>
一人あたり給与支給総額又は給与支給総額は、いずれも水準以上となる目標値設定が必要ですが、いずれの目標値も達成できなかった場合、達成度合いの高い方の目標値の未達成率を乗じた額の返還が求められます。

<「事業場内最賃水準」未達の場合>
毎年の事業化状況報告時点で未達であった場合、補助金交付額を事業計画期間の年数で除した額の返還が求められます。

また、「付加価値額要件」については、補助金返還は求められないものの、原則として達成が必要となりますのでご留意下さい。

「新事業進出」の定義について

本補助金では、申請する新規事業について、以下の事業イメージのような業種転換や業態転換を伴い、なおかつ事業内容が「①製品等の新規性要件」「②市場の新規性要件」「③新事業売上高要件」の3つ全てを満たしているかどうかが問われます。

<「新事業進出」に該当する事業イメージ>
・ガソリン車部品の製造を行う事業者が、半導体製造装置部品の製造に新たに取り組む
・航空機部品の製造を行う事業者が、医療機器部品の製造に新たに取り組む
・注文住宅の建設を行う事業者が、木材家具の製造に新たに取り組む
・販促物の印刷を行う事業者が、食堂の内装工事に新たに取り組む
・アプリやWEBサイトの開発を行う事業者が、商社型ECサイトの運営に新たに取り組む

①製品等の新規性要件
新規事業で新たに製造/開発する製品/サービスが、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有する必要があります。ここで言う「新規性」とは、過去に製造/開発した実績のない製品/サービスの製造/開発のことを指します。

②市場の新規性要件
新規事業で新たに製造/開発する製品/サービスの属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場である必要があります。ここで言う「新たな市場」とは、既存の事業で対象となっていなかったニーズ・属性(法人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指します。

③新事業売上高要件
新規事業の売上高(又は付加価値額)が、事業計画期間最終年度において、応募申請時の総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となることが見込まれる事業計画の策定が必要です。

※応募申請時の直近事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上で、かつ新規事業を行う事業部門の同事業年度の決算に基づく売上高が3億円以上である場合には、新規事業の売上高(又は付加価値額)が、応募申請時の当該事業部門の売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となることが見込まれる事業計画策定でも、要件を満たします。

補助対象経費

主な補助対象経費は以下の通りです。申請上必須となる経費や上限が設けられている経費があるため、ご注意ください。

経費項目詳細
機械装置・システム構築費
(建物費といずれか必須)
・機械装置、工具器具の購入や製作、借用に係る費用
・専用ソフトウェア、情報システム等の購入や構築、借用に係る費用
・上記に関する改良や据付け、又は運搬に係る費用
建物費
(機械装置・システム構築費といずれか必須)
・生産施設、加工施設、販売施設、作業場等の建設や改修に係る費用
・建物の撤去費用
・建物に付随する構築物の建設に係る費用
運搬費運搬料、宅配・郵送料等に係る費用
技術導入費補助事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に係る費用
知的財産権等関連経費補助事業の開発成果の事業化に必要な特許等の知的財産権等の取得に係る費用
外注費
(補助金額全体の10%が補助上限)
補助事業遂行に必要な検査、加工、設計等の一部を外注する場合の費用
専門家経費
(100万円が補助上限)
補助事業遂行のために必要な専門家に支払われる費用
クラウドサービス利用費補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等に係る費用
広告宣伝・販売促進費
(事業計画期間1年当たりの
売上高見込み額(税抜き)の5%が補助上限)
補助事業で製造/開発する製品/サービスに必要な広告の作成及び媒体掲載、ウェブサイト構築、展示会出展等に係る費用

本補助金では、通常の補助金では対象外となることが多い、建物に係る「構築物費」や広告宣伝費用も補助対象経費に含めることができます。
本補助金では「補助事業実施期間中に支払った補助対象経費」に対して、補助金の受給が行われます。もし採択発表・交付決定より前に既に支払いを行ってしまっている場合、当該経費については、補助対象外となってしまいます。

また、支払は銀行振込の実績でのみ確認されます。クレジットカード決済や現金・手形払い等については、補助対象外となってしまいます。

補助事業のスケジュール

補助金の受給までのスケジュールは以下の通りとなります。

新事業進出補助金の申請スケジュールと補助事業完了までの流れ
新事業進出補助金の申請スケジュールと補助事業完了までの流れ

申請

補助金の募集は6月頃に予定されています。申請締切日7月10日(木)18時までに、以下の準備・作成を全て行い、申請作業を行う必要があります。

<申請における準備事項>
・GbizIDプライムの取得
・事業計画書の作成
・謄本、決算書、労働者名簿等の書類準備

審査

申請内容をもとに事務局による書類審査・面接審査が行われ、採択発表が行われます。

<書類審査>
申請した事業内容が補助事業の要件を満たしているかどうか、新規事業の内容が「新規性」又は「高付加価値性」のいずれかを有しているかどうか審査が行われます。

出典:令和7年4月 中小企業庁独立行政法人中小企業基盤整備機構「新市場・高付加価値事業とは」

新市場性

新規事業で取り組む事業の区分が、社会においても一定程度新規性を有する(一般的な普及度や認知度が低い)ものであるかどうかが審査されます。そのため、例えば事業内容はニッチ分野であっても、その属する分野やジャンルの社会的な普及度・認知度が高い場合は、「新市場性」の対象とはなりません。

審査イメージ

  • 純ニッケルを使用した水素発生装置の部材加工を行う事業
    • 広義的なジャンル・分野としては「水素発生装置の部材」に分類され、社会的な普及度は低いため、新市場性に該当する。
  • フードロス問題に資する長期保存可能なチョコレートの製造に取り組む事業
    • 広義的なジャンル・分野としては「チョコレート」に分類され、社会的な認知度は高いため、新市場性に該当しない。
  • 東京都港区で高級焼肉店を経営する事業を行う場合
    • 広義的には「焼肉店」に分類され、社会的な認知度は高いため、新市場性に該当しない。

高付加価値性

新規事業で製造/開発する新製品/新サービスのジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格と比較して、自社が製造/開発する新製品等が、高水準の高付加価値化を図るものであるかどうかが審査されます。

審査イメージ

  • 木材家具の製造を行う場合
    • オーダーメイドや無垢材という製品の特長に加え、既存事業の知見を活用することで、他の木材家具にはない高付加価値化が図られる。
  • ウイスキー製造を行う場合
    • 操作盤の内作により、日本では珍しいクラフトグレーンウイスキーの開発製造に取り組むことで、他のウイスキーにはない高付加価値化が図られる。
  • 観光ホテルを開業する場合
    • 地域の観光資源との連携や体験の提供により、他の観光ホテルと比較して高付加価値化が図られる。

<口頭審査>
書類審査で一定の審査基準を満たした事業者に対して、必要に応じて行われます。
事業の適格性、優位性、実現可能性、継続可能性等の観点から、15分程度オンライン(Zoom等)にて事業内容に関する質疑応答が行われます。

口頭審査の対象になったにも関わらず、審査を受けなかった場合は不採択となります。口頭審査のスケジュールを必ず厳守し、オンライン環境を整えて参加することが重要です。

交付申請

令和7年10月頃を目安に採択発表があります。採択を受けた事業者は、遅くとも採択発表後2ヶ月後までに、以下の準備を行い交付申請手続きをする必要があります。

<交付申請における準備事項>
・採択後に行われる説明会に参加
・見積書と相見積書の取得

採択された場合、事務局が実施する説明会に参加することが必須となっています。説明会は複数回開催されますが、いずれの実施回にも参加しなかった場合、説明会最終開催日をもって、自動的に採択が無効となりますので注意が必要です。

事業実施期間

交付申請を行い、申請内容に問題がなければ交付決定が通知され、交付決定日から14ヶ月以内(ただし、採択発表から16ヶ月以内)が事業実施期間となります。

事業実施期間の最終日が補助事業完了期限日となり、それまでに補助事業の発注、納品、検収、支払に加えて、後述する報告作業も全て完了する必要があります。

実績報告

補助事業完了後30日以内、又は補助事業完了期限日までに、以下の準備を行い実績報告書の提出をする必要があります。

<実績報告における準備事項>
・発注書、納品書、検収書、請求書等の契約・支払の証憑を揃える
・納品した設備やシステムの仕様や外観等の画像・書類を揃える
・実績報告書の作成

期限までに実績報告書が提出されなかった場合、交付決定が取り消され補助金の受給が出来なくなります。
また、提出した実績報告書の内容をもとに、事務局による実地検査が行われます。検査で納品物の確認ができない場合や、事業計画と異なる場合、検査を拒否する場合は、補助金減額や交付決定取り消しの可能性があるため注意が必要です。

事業化状況報告等

実績報告書の提出から約2ヶ月後を目途に、補助金の交付・受給となります。補助事業を完了した日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間、事業の状況や付加価値額要件、賃上げ要件、事業場内最賃水準要件の達成状況について、報告を行う必要があります。

特に、報告時に要件の未達がある場合には、補助金の返還が求められる場合があるため、注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
新事業進出補助金は、「新たな事業への挑戦」を検討されている事業者様にとって、非常に有効な支援制度です。
ただし、制度の活用には、複数のステップや満たすべき要件があり、スムーズな申請のためには専門的な知識と事前準備が求められます。

・申請したいが何から取り掛かるべきか相談したい
・申請のサポートを依頼したい
・自社の事業が対象となるか確認したい

株式会社G&Nでは、こうしたご相談に対して丁寧かつ実践的なサポートを行っております。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

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