2026.05.20
令和8年度注目の東京都補助金|課題解決型技術開発促進事業の詳細を解説

「課題解決型技術開発促進事業」は、今年度新たに創設された助成制度です。安全対策、介護・福祉、DX化、業務効率化、暑さ対策など、東京都が重点的に支援する分野における製品・サービス開発を後押しします。
対象となる取組内容が幅広いことに加え、都内の法人・個人事業主・創業予定者まで幅広く申請できる点も大きな特徴です。また、助成上限額は2,000万円、助成率は最大2/3と比較的高水準であることから、現在大きな注目を集めています。
本記事では、制度概要をはじめ、助成対象となる取組内容や申請スケジュールなどを分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
課題解決型技術開発促進事業とは
都内の中小企業者等が実施する、東京都の長期ビジョン「2050東京戦略」の実現に向けた都市課題の解決を目的として、以下の4つの支援テーマに沿った製品・サービスの事業化を目指す試作品の開発・改良に要する経費の一部を助成する制度です。
- 持続可能で安全・安心な東京の実現に関するもの
(例)防災・減災、事業リスク対策、感染症対策、セキュリティ、子供の安全対策 など - 高齢者・障害者のニーズを満たすもの、又は介護従事者の負担軽減に関するもの
(例)福祉・アクセシビリティ、次世代介護機器、アクティブシニア・パラスポーツ など - DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に関するもの
(例)業務効率化、営業・マーケティング強化、業務自動化・データ活用、業界特化型 など - 暑さ対策に関するもの
(例)気候変動、設備・インフラ、管理・モニタリング など
助成金額・助成率
| 助成上限金額 | 2,000万円 |
| 助成率 | 2/3以内 |
助成対象者
以下のいずれかを満たす事業者(クリックで詳細表示)
- 中小企業者(法人及び個人事業者)
- 中小企業団体等
- 東京都内での創業を具体的に計画している者(創業予定の個人)
「中小企業者」とは、下表に該当するもののうち、大企業が実質的に経営に参画していないもの(「みなし大企業」でないもの)のことを指します。
「法人」とは、中小企業基本法上の会社に分類されるもの(株式会社、合名会社、合資会社、有限会社等)を指します。なお、社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人、一般社団・財団法人、学校法人、有限責任事業組合(LLP)等は助成対象外となります。
| 業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業又は情報処理サービス業、その他の業種(下記以外) | 3億円 | 300人 |
| 卸売業 | 1億円 | 100人 |
| サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
| 小売業 | 5,000万円 | 50人 |
| ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
| 旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
※本制度では、情報通信業のうち、以下の業種分類は「サービス業」と区分されます。
| 大分類 | 中分類 | 小分類 |
|---|---|---|
| 情報通信業 | 放送業 | 全て |
| 情報サービス業 | 管理、補助的経済活動を行う事業所 | |
| 映像・音声・文字情報制作業 | 映像情報制作・配給業 | |
| 音声情報制作業 | ||
| 広告制作業 | ||
| 映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業 |
組織形態が以下のいずれかに該当し、それぞれ条件を満たすもの(クリックで詳細表示)
①法人(中小企業団体等を含む)の場合
- 令和8年6月1日時点で、東京都内に登記簿上の本店または支店がある
(中小企業団体の場合は、定款・組合員名簿・総会の議事録等を提出できること) - 令和8年6月1日時点で、東京都内事業所で実質的に1年以上事業を行っている
または、東京都内で創業し、引き続く事業期間が1年に満たない未決算法人である - 助成事業の成果を活用し、東京都内で引き続き事業を営む予定である
②個人事業者の場合
- 令和8年6月1日時点で、税務署に提出済みの「個人事業の開業・廃業等届出書」の控えにより、都内所在地等が確認できる
- 令和8年6月1日時点で、東京都内事業東京都内事業所で実質的に1年以上事業を行っている
または、東京都内で創業し、引き続く事業期間が1年に満たない未決算個人事業者である - 助成事業の成果を活用し、東京都内で引き続き事業を営む予定である
③創業予定者の場合
- 令和8年6月1日時点で、東京都内での創業を具体的に計画している
- 交付決定後、速やかに開業し、税務署に提出済みの個人事業の開業・廃業等届出書の写し又は登記簿謄本(履歴事項全部証明)により、改行する事業の納税地・主たる事業所等の都内所在地等が確認できる
- 助成事業の成果を活用し、東京都内で引き続き事業を営む予定である
助成事業の実施場所が、以下のいずれかに該当していること(クリックで詳細表示)
- 自社の事業所、工場等であること(賃借の場合を含む)
- 原則として都内であること
※ただし、状況により首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県、群馬県、茨城県、栃木県)の実施場所でも可 - 申請書記載の購入予定の物品、開発人員、当該助成事業における成果物等が確認できること
- 自社の事業所が都内のバーチャルオフィス(物理的な存在をもたない仮想的なオフィス)のみの場合は、以下の追加要件を全て満たすこと
- 申請時に、公社が求める検査等を行うことができる場所(原則東京都内)を設定すること
- 助成事業の成果物や財産、帳票類等について責任をもって保管できる場所を確保すること
助成対象となる取り組み
本助成事業における「製品・サービス」とは、市場への投入や事業化を目指す対象を指します。
また、その製品・サービスを実現するために必要となる中核的な試作品(ハードウェア・ソフトウェア)の設計、製作、試験評価などを行う取り組みを「開発・改良」と位置付けています。これらの開発・改良によって生み出された成果物が「試作品」です。
さらに、本助成事業における「助成対象事業」とは、以下の4つの支援テーマに基づき、事業化を目指す製品・サービスの中核となる試作品の開発・改良を行う事業をいいます。
- 持続可能で安全・安心な東京の実現に関するもの
(例)防災・減災、事業リスク対策、感染症対策、セキュリティ、子供の安全対策 など - 高齢者・障害者のニーズを満たすもの、又は介護従事者の負担軽減に関するもの
(例)福祉・アクセシビリティ、次世代介護機器、アクティブシニア・パラスポーツ など - DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に関するもの
(例)業務効率化、営業・マーケティング強化、業務自動化・データ活用、業界特化型 など - 暑さ対策に関するもの
(例)気候変動、設備・インフラ、管理・モニタリング など
<助成対象事業の例①:製品(ハードウェア/ソフトウェア)の形で市場投入を目指す場合>
| 助成事業で開発・改良する試作品(成果物) | ”課題解決を目的とした”××装置/システムの試作品 |
| 市場投入(事業化)の形 | ××装置/システム |
<助成対象事業の例②:サービスの形で市場投入を目指す場合>
| 助成事業で開発・改良する試作品(成果物) | ”課題解決を目的とした”△△サービスにおける××装置/システムの試作品 |
| 市場投入(事業化)の形 | ××装置/システムを組み込んだ△△サービス |
※サービスの形で市場投入を目指す場合、助成事業の対象となるのは、サービスに組み込まれるハードウェア/ソフトウェアの試作品です。
助成事業における主な留意事項
本助成事業では、あらかじめ達成目標を設定したうえで申請を行います。
助成事業は、その達成目標を満たすことで完了となり、試作品や成果物については、助成対象期間内に完成している必要があります。これらは完了検査で確認されます。
また、達成目標を証明する資料として、仕様書、試験報告書、設計書、図面、写真、ソースコードなどの提出が求められます。
試作品の数量は、目標達成に必要な最小限にとどめる必要があり、事業終了後も一定期間の保存義務があります。さらに、経費については請求書や振込控えに加え、納品書、仕様書、設計図、完了報告書など、事業実施を証明できる資料の提出も必要です。
なお、海外で発行された書類には日本語訳の添付が必須となります。また、成果を活用した販売や事業化については、完了検査終了後から開始する必要があります。
助成対象経費
| 経費区分 | 内容 |
|---|---|
| 原材料・副資材費 | 開発・改良する試作品の構成部分、開発・改良の実施に直接使用し消費される原料、材料及び副資材の購入に要する経費 (例)鋼材、機械部品、電機部品、化学薬品、試験用部品等 |
| 機械装置・工具器具費 | 試作品の開発・改良の実施に直接使用する機械装置・工具器具の購入、リース、レンタル、据付に要する経費 (例)試作金型、計測機械、測定装置、サーバ、ソフトウェア、クラウドサービス利用料等 |
| 委託・外注費 | ①研究開発に要する経費 自社で直接実施することができないものについて、外部事業者等(大学・試験研究機関を含む)へ委託する場合に要する経費 (例)機械加工、設計、試験評価、検査・実験、開発、製造・改造・加工、試料の製造、分析鑑定等 ②共同研究に要する経費 共同研究契約により共同研究を実施するために要する経費 (例)大学、試験研究機関との間で共通の課題について分担して行う開発等 ③ユーザーテストに要する経費 マーケティングを生業とする事業者に依頼し、開発した試作品を特定のユーザーに無償貸与し、一般公開せずに実施するテスト・評価に要する経費 (例)ユーザビリティテスト、モニター調査等 |
| 産業財産権出願・導入費 | ①開発・改良した試作品の特許・実用新案・意匠・商標の出願に要する経費(外国出願に係る現地代理人費用、翻訳料も含む) ②特許・実用新案・意匠・商標(出願、登録、公告され存続しているもの)を他の事業者・個人から譲渡又は実施許諾(ライセンス料を含む)を受ける場合の経費 |
| 専門家指導費 | 試作品の開発・改良について、外部(専門家)の技術指導を受ける場合に要する経費 (例)外部専門家の技術指導への謝金等 |
| 直接人件費 | 試作品の開発・改良に係る工程に直接従事する者の人件費 (例)仕様策定、試作開発、成形加工、検証事務、システム組込、デザイン等 ※助成金交付申請額は、1,000万円が上限です。 ※従事時間の上限は、1人につき1日8時間、年間1,800時間までとなります。 |
| 規格認証・登録料 | ①開発・改良した試作品の規格等の認証・登録に要する経費 (例)消防法で定められた防炎性能確認審査に要する手数料、フェーズフリー認証に必要な審査料等 ②開発・改良した試作品の規格等の認証登録に係る外部専門家の技術指導、研修などを受ける場合に要する経費 (例)技術文書・マニュアル整備などの指導及び作成代行に要する経費、外部検収の受講料等 |
直接人件費の対象となる作業内容
試作品の設計、製作、検査に関する以下の作業に要する時間が、「開発・改良に係る工程に直接従事する時間」として助成対象となります。
- ソフトウェアの場合
- 要件定義、ユーザー環境、技術的実現方法(機能・性能仕様、全体システム構成等)をまとめる作業
- プログラミングする上で必要な詳細仕様を作成する作業
- ソースコードの作成、実装作業
- 設計に基づき、実装したもののテスト作業(動作確認作業)
- 機能・性能、信頼性、適用規格及び疑似運用環境での総合動作を確認する作業
- ハードウェアの場合
- 実現する仕様(機能・性能、信頼性、適用規格、数値、工程等)を明確にする作業
- 試作に必要な設計資料をまとめる作業 具体的な実現手段・手法や評価・解析方法を明確にする作業
- 組立作業及び各種実験操作(合成・配合作業、工程操作等)の作業
- 試作したもののテスト作業(動作確認作業) 実験単位ごとに特性を確認するための試験・評価作業
- 機能・性能、工程実現性、信頼性、適用規格及び疑似運用環境での総合動作を確認・検証するための試験・評価作業
助成事業のスケジュール
今年度の募集スケジュールは以下の通りとなっています。
| 項目 | 第1回 | 第2回 |
|---|---|---|
| 申請受付期間 | 令和8年6月4日(木)~7月3日(金)17:00 | 令和8年10月9日(金)~11月13日(金)17:00 |
| 書類審査 | ~令和8年8月下旬 | ~令和9年1月中旬 |
| 面接審査 | ~令和8年10月上旬 | ~令和9年2月上旬 |
| 交付決定 | 令和8年11月30日(月) | 令和9年3月31日(水) |
| 助成事業実施期間 | 1年9か月以内 (令和8年12月1日~令和10年8月31日) | 1年9か月以内 (令和9年4月1日~令和10年12月31日) |

1.申請
申請締切日までに、以下のような書類を準備し申請を行います。
- 申請様式(交付申請書)に事業者情報や事業計画を記載
- 誓約書(反社会的勢力排除に関する誓約書、申請に関する誓約書)
- 謄本や納税証明書等の資料
- 見積書や相見積書、カタログ等(単価100万以上の設備導入・システム開発・委託外注の場合)
2.審査
申請締切日から約2ヶ月間を目安に審査(書類審査・面接審査)が実施され、採択された事業者には交付決定通知書が送付されます。
まず、書類審査が実施され、審査通過者には申請から約1ヶ月後を目安に、事務局より面接審査の日時と実施場所等の案内がメールにて届きます。
面接審査の後、採択となった事業者には交付決定通知書がメールにて送付され、補助事業の実施が可能となります。
面接審査の注意事項
面接審査の日程は、事務局が指定する日時・会場にて行われ、申請者都合による変更は認められません。原則として対面形式であり、代表者・役員・従業員に限り最大2名まで出席可能です。
万が一出席できない場合は、申請を辞退したものと見なされ不採択となりますので注意が必要です。
面接審査では、取組内容のプレゼン(15分程度)と事務局による質疑応答(15分程度)が行われます。また、以下の事前準備が必要です。
- 本人確認書類の準備(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 交付申請書の準備
- プレゼン用資料の準備(必要最小限の範囲で使用可能)
3.助成事業実施
交付決定後より補助事業の実施が可能となります。事業実施期間は交付決定日から最大1年間となっており、期間内に補助事業における発注・納品・検収・支払の全ての工程を経て事業を完了するとともに、後述する実績報告書類の提出まで完了する必要があります。
4.遂行状況報告/中間検査
事業期間が12か月を超える場合(令和9年12月31日終了予定の事業)は、「遂行状況報告書」の提出が必要となります。提出内容をもとに、中間検査が実施されます。
第1回公募における提出期限は令和9年10月15日で、報告対象となるのは、令和8年12月1日から令和9年9月30日までの事業遂行状況です。対象経費は、この期間内に「発注・契約」「取得・実施」「支払い」まで完了しているものに限られます。
なお、令和9年12月31日までに事業が完了する場合は、遂行状況報告は不要です。また、既に支払い済みの経費であっても、遂行状況報告書に記載がない場合は助成対象外となる可能性があるため、漏れのない申告が重要です。
5.実績報告/完了検査
補助事業完了後30日以内、又は補助事業実施期間最終日のうちいずれか早い日を期限とし、それまでに以下の書類を準備し実績報告を行う必要があります。
- 契約書、納品書、請求書、領収書等の支払関連の証憑書類
- 設備や原材料のカタログや写真等、システムの仕様書等の経費毎の証憑書類
- 実績報告書(事務局指定様式)の作成
提出された実績報告書類をもとに、事務局による完了検査が行われます。
完了検査では、補助事業の実施が適正かどうか、購入物等の現地確認や経理関連書類の原本照合を行い、補助金の交付額を決定します。
6.補助金の請求・交付
「助成金確定通知書」の受領後、「助成金請求書(公社指定様式)」を提出します。
事務局で内容を確認した後、事業者名義の指定の金融機関口座に補助金が振り込まれます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「課題解決型技術開発促進事業」は、今年度新たに創設された助成制度です。安全対策、介護・福祉、DX化、業務効率化、暑さ対策など、東京都が重点的に支援する分野における製品・サービス開発を後押しする内容となっており、活用しやすい制度として多くの事業者から注目を集めています。
ただし、制度の活用には、複数のステップや満たすべき要件があり、スムーズな申請のためには専門的な知識と事前準備が求められます。
・申請したいが何から取り掛かるべきか相談したい
・申請のサポートを依頼したい
・自社の事業が対象となるか確認したい
株式会社G&Nでは、こうしたご相談に対して丁寧かつ実践的なサポートを行っております。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。




