2026.03.17
会計・受発注・決済ソフトの導入に最適!インボイス枠(インボイス対応類型)の詳細を解説

2026年度より「IT導入補助金」から名称変更された「デジタル化・AI導入補助金」は、中小企業・小規模事業者が業務効率化や生産性向上を目的としてITツールを導入する際、その費用の一部を国が支援する制度です。2017年度の創設以降、毎年多くの企業がこの制度を活用し、さまざまな課題解決に役立てています。
今回ご紹介する「インボイス枠(インボイス対応類型)」は、2023年10月に施行されたインボイス制度への対応を強力に推進するために、「会計」「受発注」「決済」に関連するITツール導入を支援するものであり、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援することを目的に創設されました。
本記事では、制度の概要や補助対象のITツール、申請要件、補助金額、申請スケジュールまでをわかりやすく解説します。自社の業務改善に向けて、ぜひ制度の活用をご検討ください。
デジタル化・AI導入補助金の概要
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。また、相談対応等のサポート費用やクラウドサービス利用料等も補助対象に含まれます。
申請する際は、デジタル化・AI導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要となります。
※複数社連携IT導入枠を除く

補助金額・補助率
インボイス枠(インボイス対応類型)では、インボイス制度に対応した「会計」・「受発注」・「決済」の機能を有するソフトウェア、PC・ハードウェア等を導入するための経費の一部を補助することで、インボイス制度への対応を強力に推進することを目的としています。
「会計」・「受発注」・「決済」のうち保有する機能数によって、補助上限金額は下表の通り異なります。
また、ソフトウェアを使用するためのハードウェアも補助対象となります。
| 補助対象経費 | 機能要件 | 補助上限金額 | 補助率 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア購入費 導入関連費 | 会計・受発注・決済のうち1機能以上 | 50万円 | 4/5以内(※) | ||
会計・受発注・決済のうち2機能以上 | 350万円 | ~50万円部分 | 4/5以内(※) | ||
| 50万円超~350万円以内 | 2/3以内 | ||||
| PC・タブレット等 | ITツールの使用に資するもの | 10万円 | 1/2以内 | ||
| レジ・券売機 | 20万円 | ||||
※ 中小企業は3/4以内、小規模事業者は4/5以内となります。
補助対象者
以下の「中小企業等の定義」や「小規模事業者の定義」を満たす中小企業・小規模事業者が補助対象者となります。
また、交付申請時点において日本国内で法人登記されており、国内で事業を営んでいることが条件です。
中小企業等の定義(クリックで詳細表示)
下表の業種分類に該当する会社(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社・合弁会社等)、個人であり、なおかつ資本金額または常時使用する従業員のいずれかが、下表の数値以下となるもの
| 業種分類 | 資本金 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| ①製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業又は情報処理サービス業、その他の業種(下記②~⑥以外) | 3億円以下 | 300人以下 |
| ②卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| ③サービス業(ソフトウェア業又は情報処理サービス業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| ④小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ⑤ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工場用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| ⑥旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
また、上記以外の法人である場合は、下表に該当する組合、法人、団体、連合会であり、なおかつ常時使用する従業員が下表の数値以下となるもの
| 名称 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| ⑦医療法人、社会福祉法人、学校法人 | 300人以下 |
| ⑧商工会・都道府県連合会及び商工会議所 | 100人以下 |
| ⑨中小企業支援法第2条第1項第4号に規定する中小企業団体 特別の法律によって設立された組合又はその連合会 (一般・公益)財団法人、(一般・公益)社団法人 特定非営利活動法人 | 上表の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下 |
小規模事業者の定義(クリックで詳細表示)
下表の業種分類に該当する会社(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社・合弁会社等)、個人であり、なおかつ常時使用する従業員が下表の数値以下となるもの
| 業種分類 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
補助対象外となる事業者
ただし、上記の補助対象者の条件を満たす場合でも、下記に該当する場合は補助対象外となります。
- みなし大企業に該当する事業者
- 確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
- 「デジタル化・AI導入補助金」において「IT導入支援事業者」に登録済み、又は登録を行おうとする事業者
申請要件
本補助金の申請においては、以下の要件を全て満たす必要があります。
- GビスIDプライムを取得していること
- 交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと
また、「IT導入補助金2022」から「IT導入補助金2025」までの間に交付決定を受けた事業者は、以下の要件を全て満たす、交付申請を行った翌年度から3年間の事業計画を策定し、その計画に基づいて事業を実施することが必要です。
- 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上とすること
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準とすること
補助対象経費
補助事業の実施に必要不可欠な以下の経費が補助対象となります。
| 経費項目 | 詳細 |
|---|---|
| ソフトウェア購入費用(※) | 選定したITツールの購入に係る費用 |
| ソフトウェアに関連するオプション費 | 当該ITツールの機能拡張やデータ連携、セキュリティ対策等に係る費用(最大1年分) |
| ソフトウェアに関連する役務費 | ①当該ITツールの導入・活用コンサルティング、②導入設定・マニュアル作成・導入研修、③保守サポートに係る費用 ※①~③それぞれの上限は70万円、全体では200万円が上限となります。 |
| ハードウェア購入費用 | 選定したITツールの導入と合わせて購入するハードウェアの購入費用 |
※買取形式及び月額・年額で使用料金が定められている形態の製品(サブスクリプション販売形式等)の場合は、最大2年分が補助対象経費となります。
補助対象外となる経費
選定したITツールを交付決定前に購入した場合や、交付申請時点で利用金額が定まっていない場合は補助対象外となる他、以下の経費については補助対象経費に含めることができません。
- 補助対象者の顧客が実質負担する費用がツール代金に含まれるもの(補助対象者にとっての売上原価に相当すると事務局が判断するもの)
- 交通費、宿泊費、補助金申請・報告に係る申請代行費、公租公課(消費税)
- 対外的に無償で提供されているもの
- リース・レンタル契約のITツール
- 中古品
補助事業のスケジュール
補助事業の主なスケジュールは以下の通りとなっております。
公募開始:3月30日(月)10:00~(予定)
第1次締切:5月12日(火)17:00
第2次締切:6月15日(月)17:00
第3次締切:7月21日(火)17:00
第4次締切:8月25日(火)17:00

■交付申請
締切までに以下の準備・申請作業をすべて完了させる必要があります。
- 導入するITツールの選定
- GbizIDプライム、SECURITY ACTIONの取得
- 事業計画の策定
- 謄本、決算書、労働者名簿等の書類準備 など
加点について
申請時には上記の書類等に加えて、後述する審査にて優遇措置を受けられる加点項目の申請が可能です。例えば、以下のような加点項目があります。
- 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得している
- 導入するITツールとしてクラウド製品、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」、インボイス制度対応製品を選定している
- 令和6年度に「健康経営優良法人2026」に認定された事業者である
- えるぼし認定/くるみん認定を受けている
また、以下の要件を全て満たす3年間の事業計画(賃金引上げ計画)を策定・実行する場合にも加点を受けることが可能です。(それぞれ基準値を超える目標を事業者自身で設定し、達成することが求められます。)
- 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上とすること
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準とすること
※なお、上記に加え、事業場内最低賃金を更に20円以上(合計で50円以上)高い水準を達成できる場合には、更なる加点が行われます。
■審査
提出された事業計画書や添付書類(決算書、見積書、労働者名簿など)に基づいて、事業内容が経営課題解決・生産性向上に繋がる取組かどうか、インボイス制度に対応しているか、働き方改革等も視野に入れた国の推進する事業であるか、等が審査されます。
■補助事業実施
審査完了後に採択となった場合に交付決定がおり、交付決定日から最長で6ヶ月間が事業実施期間となります。
補助事業実施期間の最終日までに、補助事業の発注、納品、検収、支払に加えて、後述する報告作業も全て完了する必要があります。
■実績報告
補助事業完了後30日以内、又は補助事業完了期限日までに、以下の準備を行い実績報告書の提出をする必要があります。
- 発注書、納品書、検収書、請求書等の契約・支払の証憑を揃える
- ITツールの利用を証明できる資料(画面キャプチャ等)
- 実績報告書の作成 など
実績報告の注意事項
期限までに実績報告書が提出されなかった場合、交付決定が取り消され補助金の受給が出来なくなります。
また、提出した実績報告書の内容をもとに、事務局による実地検査が行われます。検査で納品物の確認ができない場合や、事業計画と異なる場合、検査を拒否する場合は、補助金減額や交付決定取り消しの可能性があるため注意が必要です。
■効果報告
補助事業完了後も3年間にわたって毎年、下表の効果報告期間に事業化状況について報告を行う必要があります。報告では、ITツール導入後の事業状況が確認される他、加点を申請している場合には給与支給総額や事業場内最低賃金の目標達成状況についても確認されます。
| 年度 | 報告対象となる期間 | 効果報告期間 |
|---|---|---|
| 事業計画期間前 | ITツール導入後~ | 2027年3月~ |
| 1年度目 | 交付申請時点の翌事業年度 | 2028年4月~2029年1月 |
| 3年度目 | 交付申請時点より決算期を3期経過した事業年度 | 2030年4月~2031年1月 |
加点事項の報告について、事業化状況報告において目標値未達であった場合には、中小企業庁が所管する補助金への申請において大幅な減点となる可能性があるため、十分な管理と対応が求められます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
デジタル化・AI導入補助金の「インボイス枠(インボイス対応類型)」は、「通常枠」よりも補助率が高く、申請要件も比較的容易に満たせることから、会計ソフト・受発注システム・決算支援ツールなどの導入を検討している事業者にとって、非常に活用しやすい制度となっています。
ただし、制度の活用には、複数のステップや満たすべき要件があり、スムーズな申請のためには専門的な知識と事前準備が求められます。
- 申請したいが何から取り掛かるべきか相談したい
- 申請のサポートを依頼したい
- 自社の事業が対象となるか確認したい
株式会社G&Nでは、こうしたご相談に対して丁寧かつ実践的なサポートを行っております。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。




