様々なITツール導入を支援!デジタル化・AI導入補助金「通常枠」を徹底解説

様々なITツール導入を支援!デジタル化・AI導入補助金「通常枠」を徹底解説

2026年度より「IT導入補助金」から名称変更された「デジタル化・AI導入補助金」は、中小企業・小規模事業者が業務効率化や生産性向上を目的としてITツールを導入する際、その費用の一部を国が支援する制度です。2017年度の創設以降、毎年多くの企業がこの制度を活用し、さまざまな課題解決に役立てています。

2026年3月時点では多数のITツールが登録されており、顧客対応、会計処理、在庫管理、決済対応、セキュリティ対策などの幅広いニーズに対応しています。

中でも「通常枠」は、自社の業務課題に応じてITツールを柔軟に選定・導入できる、最も汎用性の高い申請枠です。本記事では、「通常枠」の制度概要をはじめ、対象となるITツールや申請要件、補助金額、申請スケジュールについて、分かりやすく解説します。

自社の業務改善に向けて、ぜひこの制度の活用をご検討ください。

デジタル化・AI導入補助金の概要

デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。

対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。また、相談対応等のサポート費用やクラウドサービス利用料等も補助対象に含まれます。

申請する際は、デジタル化・AI導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要となります。
※複数社連携IT導入枠を除く

デジタル化・AI導入補助金のしくみ
デジタル化・AI導入補助金のしくみ

補助金額・補助率

「通常枠」で対象となる各ITツールには、下図に示す「業務プロセス」または「汎用プロセス」が設定されています。申請に当たっては、これらの業務プロセスのうち少なくとも1種類に該当するツールを導入することが必要です(補助金額が150万円以上450万円以下の場合は、4種類以上の業務プロセスに該当するツールを導入する必要があります)。ただし、「汎用プロセス」のみのツール単体での申請はできません。

デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 「ITツールの要件」
デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 「ITツールの要件」

導入するITツールのプロセス数によって、下表の通り補助上限金額が異なります。

プロセス数補助上限金額補助率(※)
1プロセス数以上150万円1/2以内 又は 2/3以内
4プロセス数以上450万円

※3ヶ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が、全従業員の30%以上であることを証明できる場合には、補助率2/3が適用されます。

補助対象者

以下の「中小企業等の定義」や「小規模事業者の定義」を満たす中小企業・小規模事業者が補助対象者となります。交付申請時点において日本国内で法人登記されており、国内で事業を営んでいることが条件です。

中小企業等の定義(クリックで詳細表示)

下表の業種分類に該当する会社(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社・合弁会社等)、個人であり、なおかつ資本金額または常時使用する従業員のいずれかが、下表の数値以下となるもの

業種分類資本金常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業又は情報処理サービス業、その他の業種(下記以外)3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業(ソフトウェア業又は情報処理サービス業を除く)5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工場用ベルト製造業を除く)3億円以下900人以下
旅館業5,000万円以下200人以下

また、上記以外の法人である場合は、下表に該当する組合、法人、団体、連合会であり、なおかつ常時使用する従業員が下表の数値以下となるもの

名称常時使用する従業員数
医療法人、社会福祉法人、学校法人300人以下
商工会・都道府県連合会及び商工会議所100人以下
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定する中小企業団体
特別の法律によって設立された組合又はその連合会
(一般・公益)財団法人、(一般・公益)社団法人
特定非営利活動法人
上表の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下

小規模事業者の定義(クリックで詳細表示)

下表の業種分類に該当する会社(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社・合弁会社等)、個人であり、なおかつ常時使用する従業員が下表の数値以下となるもの

業種分類常時使用する従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

ただし、上記の補助対象者の条件を満たす場合でも、下記に該当する場合は補助対象外となります。

  • みなし大企業に該当する事業者
  • 確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
  • 「デジタル化・AI導入補助金2026」において「IT導入支援事業者」に登録済み、又は登録を行おうとする事業者

申請要件

本補助金の申請においては、以下の要件を全て満たす必要があります。

  1. GビスIDプライムを取得していること
  2. 交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること
  3. 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと
  4. 労働生産性について、以下を全て満たす3年間の事業計画を策定・実行すること(それぞれ基準値を超える目標を事業者自身で設定・達成すること)
    • 1年後に労働生産性を3%以上向上させること(※)
    • 事業計画期間において、労働生産性の年平均成長率を3%以上とすること(※)
  5. 補助金額150万円以上で申請する場合には、以下の要件を全て満たす3年の事業計画(賃金引上げ計画)を策定し、従業員に表明するとともに、達成に向けて事業に取り組むこと。
    • 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上向上させること
    • 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準とすること

(※)過去に「IT導入補助金2023の通常枠(A類型・B類型)又はデジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)」、「IT導入補助金2024」、「IT導入補助金2025の通常枠又は複数社連携IT導入枠」の交付決定を受けたことがある事業者については、4%以上とすることが求められます。

申請要件5の賃金引上げ計画について、「給与支給総額の年平均成長率」「事業場内最低賃金を地域別最低賃金」については、万が一事業計画終了時点や事業化状況報告時点で、自身で策定した目標値を満たせなかった場合、補助金の返還が求められるため注意が必要です。

■1人当たり給与支給総額の増加目標が未達の場合

事業計画期間終了時点において、1人当たり給与支給総額の年平均成長率が3%に満たない場合、補助金の全額返還を求められます。
ただし、付加価値額が伸びなかった場合には目標達成が困難であることから、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として3年の事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合には返還を求められません。

■事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合

事業化状況報告時の直近月時点において目標未達の場合は、以下の通り補助金の全額または一部の返還が求められます。ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として3年の事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合には返還を求められません。

(補助金額が450万円の際の返還額の具体例)

1年度目で未達の場合:全額返還(450万円)
2年度目で未達の場合:2/3返還(300万円)
3年度目で未達の場合:1/3返還(150万円)

補助対象経費

補助事業の実施に必要不可欠な以下の経費が補助対象となります。

①ソフトウェア(必須):ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)
②オプション:機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ
③役務:導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル設定・導入研修、保守サポート

※買取形式及び月額・年額で使用料金が定められている形態の製品(サブスクリプション販売形式等)の場合は、最大2年分が補助対象経費となります。

選定したITツールを交付決定前に購入した場合や、交付申請時点で利用金額が定まっていない場合は補助対象外となる他、以下の経費については補助対象経費に含めることができません。

  • 補助対象者の顧客が実質負担する費用がツール代金に含まれるもの(補助対象者にとっての売上原価に相当すると事務局が判断するもの)
  • 交通費、宿泊費、補助金申請・報告に係る申請代行費、公租公課(消費税)
  • 対外的に無償で提供されているもの
  • リース・レンタル契約のITツール
  • 中古品

補助事業のスケジュール

補助事業の主なスケジュールは以下の通りとなっております。

公募開始:3月30日(月)10:00~(予定)

第1次締切:5月12日(火)17:00
第2次締切:6月15日(月)17:00
第3次締切:7月21日(火)17:00
第4次締切:8月25日(火)17:00

デジタル化・AI導入補助金2026「通常枠」の補助事業スケジュール
デジタル化・AI導入補助金2026「通常枠」の補助事業スケジュール

■交付申請

締切までに以下の準備・申請作業をすべて完了させる必要があります。

  • 導入するITツールの選定
  • GbizIDプライム、SECURITY ACTIONの取得
  • 事業計画の策定
  • 謄本、決算書、労働者名簿等の書類準備   など

申請時には上記の書類等に加えて、後述する審査にて優遇措置を受けられる加点項目の申請が可能です。例えば、以下のような加点項目があります。

  • 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得している
  • 導入するITツールとしてクラウド製品、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」、インボイス制度対応製品を選定している
  • 令和6年度に「健康経営優良法人2026」に認定された事業者である
  • えるぼし認定/くるみん認定を受けている

また、補助上限金額150万円未満で申請を行う場合でも、以下の要件を全て満たす3年間の事業計画(賃金引上げ計画)を策定・実行することで加点を受けることが可能です。(それぞれ基準値を超える目標を事業者自身で設定し、達成することが求められます。)

  • 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上とすること
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準とすること

※なお、上記に加え、事業場内最低賃金を更に20円以上(合計で50円以上)高い水準を達成できる場合には、更なる加点が行われます。

さらに、補助上限金額150万円以上で申請を行う場合でも、賃金引上げ計画において、事業場内最低賃金を更に20円以上(合計で50円以上)高い水準を達成できる場合には、更なる加点が行われます。

■審査

提出された事業計画書や添付書類(決算書、見積書、労働者名簿など)に基づいて、事業内容が経営課題解決に繋がる取組かどうか、労働生産性が向上する取組かどうか、働き方改革等も視野に入れた国の推進する事業であるか、等が審査されます。

■補助事業実施

審査完了後に採択となった場合に交付決定がおり、交付決定日から最長で6ヶ月間程度が事業実施期間となります。

補助事業実施期間の最終日までに、補助事業の発注、納品、検収、支払に加えて、後述する報告作業も全て完了する必要があります。

■実績報告

補助事業完了後30日以内、又は補助事業完了期限日までに、以下の準備を行い実績報告書の提出をする必要があります。

  • 発注書、納品書、検収書、請求書等の契約・支払の証憑を揃える
  • ITツールの利用を証明できる資料(画面キャプチャ等)
  • 実績報告書の作成   など

期限までに実績報告書が提出されなかった場合、交付決定が取り消され補助金の受給が出来なくなります。

また、提出した実績報告書の内容をもとに、事務局による実地検査が行われます。検査で納品物の確認ができない場合や、事業計画と異なる場合、検査を拒否する場合は、補助金減額や交付決定取り消しの可能性があるため注意が必要です。

■効果報告

補助事業完了後も3年間にわたって毎年、下表の効果報告期間に事業化状況について報告を行う必要があります。報告では、申請時に設定した労働生産性や給与支給総額、一人当たり給与支給総額、事業場内最低賃金の目標達成状況が確認されます。

事業化状況報告において目標値未達であった場合には、補助金の一部返還・全額返還となる可能性があるため、十分な管理と対応が求められます。

年度報告対象となる期間効果報告期間
事業計画期間前ITツール導入後~2027年3月~
1年度目交付申請時点の翌事業年度2028年4月~2029年1月
2年度目前年度の効果報告対象期間の翌事業年度2029年4月~2030年1月
3年度目前年度の効果報告対象期間の翌事業年度2030年4月~2031年1月

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「デジタル化・AI導入補助金(通常枠)」は、事業者の様々な業務課題の解決に資するソフトウェアの導入を幅広く支援する制度です。顧客管理・労務管理といった全事業者共通の業務課題から、生産管理・在庫管理といった事業者特有の業務課題まで、広範な課題に対応できるITツールから選択して導入が可能であり、多くの中小企業にとって非常に活用しやすい内容となっています。

ただし、制度の活用には、複数のステップや満たすべき要件があり、スムーズな申請のためには専門的な知識と事前準備が求められます。

  • 申請したいが何から取り掛かるべきか相談したい
  • 申請のサポートを依頼したい
  • 自社の事業が対象となるか確認したい

株式会社G&Nでは、こうしたご相談に対して丁寧かつ実践的なサポートを行っております。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

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