2025.06.13
物流事業者向け補助金6選|設備・建物投資別に徹底比較

2025年は、物流業界において「省力化」「施設整備」「自動化」などを支援する補助金制度が充実しており、事業成長や業務効率化を後押しする絶好のタイミングです。特に以下のような投資を検討している事業者におすすめです
- 物流拠点や倉庫等の新設・増設・改修を計画している
- 倉庫や物流施設に自動倉庫・搬送車・フォークリフト等の設備導入を進めたい
本記事では、物流事業者が活用できる制度として、下表の6つの制度をご紹介いたします。
いずれも全国の物流事業者が活用できる制度ですが、それぞれ補助上限金額や補助率が異なる他、補助対象となる取組内容にも違いがあります。自社のニーズにあった制度を確認しましょう。

目次
持続可能な物流を支える物流効率化実証事業
我が国の物流は国民生活と経済を支える社会インフラですが、構造的な需給ひっ迫により輸送力不足が深刻化しています。この課題に対応するため、2024年4月に改正物流法(新物効法)が施行され、全ての荷主および物流事業者に物流効率化への努力義務が課されました。
本補助事業は、荷主を含む複数企業による物流効率化の取り組みに対し、物流施設の自動化・機械化に必要な機器・システム導入やプラットフォーム構築に係る実証費用を支援し、新物効法の実効性向上を図ることを目的としています。
本補助事業では、主に以下の2つの事業類型があります。
- ①物流効率化に資する連携実証事業:物流施設の自動化・機械化に資する機器・システムの導入、プラットフォームの構築等に係る実証費用を補助
- ②買物困難者対策事業:地域における買物困難者対策を支援するため、自動配送ロボットの実証実験等を補助
※ここで言う「買物困難者」とは、店舗まで500m以上かつ自動車の利用が困難な65歳以上の高齢者、食料品の購入等に不便や苦労を感じる方(周囲に小売店が立地していない地域に住む方、可処分時間が少ない子育て世帯等、身体に障害があり物理的な移動が困難な方、等)を指します
■補助金額
事業類型 | 補助上限金額 |
---|---|
①物流効率化に資する連携実証事業 | 3億円 |
②買物困難者対策事業 | 5,000万円 |
■補助率
補助対象経費の1/2以内
■補助対象者
①物流効率化に資する連携実証事業:
荷主を1社以上含む、合計3社以上からなる連携体を構築し、物流施設の自動化・機械化に資する機器・システムの導入、プラットフォームの構築を行う物流関連事業者
②買物困難者対策事業:
より配送能力の高い自動配送ロボットを導入し、買物困難者を支援する物流関連事業者
■補助対象経費
①物流効率化に資する連携実証事業:
- 機械装置・システム費(必須支出項目)
- 専門家経費(補助対象経費総額の1/8が上限)
- 委託・外注費
- その他諸経費
②買物困難者対策事業:
- 人件費
- 機械装置・システム費
- マーケティング費
- 広告宣伝費
- 専門家経費(補助対象経費総額の1/8が上限)
- 旅費
- 委託・外注費(補助対象経費総額の1/2が上限)
- その他諸経費
■補助事業のスケジュール
①物流効率化に資する連携実証事業
募集期間:2025年3月26日(水)~5月1日(木)17:00
※次回の募集時期は未定
②買物困難者対策事業
募集期間:2025年3月31日(月)~5月8日(木)17:00
※次回の募集時期は未定
物流施設におけるDX推進実証事業
物流業界の停滞を回避するためには物流施設においてDXを推進し、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間の削減、施設のDX化を進めることは喫緊の課題です。
本事業は物流施設を保有・使用する物流関係事業者が、業務効率化や働き方改革のための自動化・機械化・デジタル化により、多様な人材の確保・育成を推進するため、物流施設における、優れたシステム構築・連携や自動化・機械化機器の導入を同時に行う場合、その経費の一部を支援するとともに、専門家による伴走支援、効果検証等を行うことにより、物流施設におけるDXの強力な推進を図ることを目的とします。
本補助事業では、主に以下の2つの事業類型があります。
①物流施設におけるシステム構築・連携事業:物流施設において、優れたシステム構築・連携を行う事業
②物流施設における自動化・機械化事業:物流施設において、優れた自動化・機械化機器の導入を行う事業
■補助金額
事業類型 | 補助上限金額 |
---|---|
①物流施設におけるシステム構築・連携事業 | 2,000万円 |
②物流施設における自動化・機械化事業 | 3,000万円 |
■補助率
補助対象経費の1/2以内
■補助対象者
物流施設を保有・使用する以下の物流関係事業者
- 倉庫業者
- 第一種貨物利用運送事業者、第二種貨物利用運送事業者
- トラックターミナル事業者
- 一般貨物自動車運送事業者、特定貨物自動車運送事業者、貨物軽自動車運送事業者
- 物流不動産開発事業者
■補助対象経費
- 事業費(①システム構築・連携経費、②自動化・機械化機器導入経費)
- 事務費(事業実施に必要不可欠な設備機器や消耗品、備品の購入や人件費、旅費、委託料、使用料及賃借料等)
■補助事業のスケジュール
募集期間:5月28日~6月18日
※次回の募集時期は未定
省力化投資補助金(カタログ注文型)
中小企業の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等に対してIoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を導入するための事業費等の経費の一部を補助する制度です。
「カタログ注文型」では、予め事務局が登録・公表している「製品カタログ」の中から省力化製品を選択し導入することで、補助を受けることができます。
■補助金額
従業員数 | 補助上限金額(※) |
---|---|
5人以下 | 200万円(300万円) |
6~20人 | 500万円(750万円) |
21人以上 | 1,000万円(1,500万円) |
※()内は、以下を満たし「大幅賃上げ特例」が適用された場合の補助上限金額
- 給与支給総額の年平均成長率+6%以上増加(複利)
- 事業場内で最も低い賃金を地域別最低賃金+45円以上にする
■補助率
1/2以下
■補助対象者
人手不足の状態にある中小企業等
■補助対象経費
省力化製品の設備投資における製品本体価格及び導入に要する費用(導入経費)
■補助事業のスケジュール
随時募集
省力化投資補助金(一般型)
中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等が、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果があるデジタル技術等を活用した設備を導入するための事業費等の経費の一部を補助することにより、省力化投資を促進します。
これにより、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的とします。
「一般型」は、オーダーメイド性のある多様な設備やシステム導入を支援するものであり、「カタログ型」よりも高い省力化効果を求められます。
■補助金額
従業員数 | 補助上限金額(※) |
---|---|
5人以下 | 750万円(1,000万円) |
6人~20人 | 1,500万円(2,000万円) |
21人~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
51人~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
101人以上 | 8,000万円(1億円) |
※()内は、以下を満たし「大幅賃上げ特例」が適用された場合の補助上限金額
- 基本要件の給与支給総額基準値(2.0%)に加え、更に年平均成長率+4.0%(合計で6.0%)以上増加すること
- 基本要件の事業所内最低賃金基準値(30円)に加え、更に+20円(合計で+50円)以上増加すること
■補助率
補助金額1,500万円以下 | 補助金額1,500万円を超える部分 | |
---|---|---|
中小企業 | 1/2(2/3)(※) | 1/3 |
小規模事業者 | 2/3 | 1/3 |
※()内は、2023年10月から2024年9月までの間で、3ヶ月以上地域別最低賃金+50円以上で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上いる場合の補助率
■補助対象者
オーダーメイド性のある設備やシステムを導入する
中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定非営利活動法人、社会福祉法人等
■補助対象経費
- 機械装置・システム構築費(単価50万円以上の設備等を1つ以上投資すること)
- 運搬費
- 技術導入費(補助対象経費全体の1/3が上限)
- 知的財産権等関連経費(補助対象経費全体の1/3が上限)
- 外注費(補助対象経費全体の1/2が上限)
- 専門家経費(補助対象経費全体の1/2が上限)
- クラウドサービス利用費
■補助事業のスケジュール
5月30日 17時まで
※次回公募については6月中旬発表予定
成長加速化補助金
2025年に新設された「中小企業成長加速化補助金」は、企業が売上100億円達成に向けた計画を公に宣言することで申請可能となる支援制度です。この宣言に基づいて実施する、賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい大胆な投資を支援します。
■補助金額
最大5億円
■補助率
1/2以内
■補助対象者
売上が10億円以上~100億円未満の中小企業かつ、1億円以上の投資を行う事業者
■補助対象経費
- 建物費(単価100万円(税抜)以上のもの)
- 機械装置等費(単価100万円(税抜)以上のもの)
- ソフトウェア費(単価100万円(税抜)以上のもの)
- 外注費
- 専門家経費(1日5万円(税抜)が上限)
※補助対象経費全体のうち、「建物費」「機械装置等費」「ソフトウェア費」の合計で1億円以上となっている必要があるため注意が必要です。
■補助事業のスケジュール
6月9日 17時まで
※6月9日の募集終了後に第2回公募が行われる予定です
大規模成長投資補助金
地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資を促進する制度で、地方における持続的な賃上げを実現することを目的としています。
■補助金額
最大50億円
■補助率
1/3以内
■補助対象者
10億円以上の大規模な投資を行う従業員数2,000人以下の中堅・中小企業
■補助対象経費
- 建物費(単価100万円(税抜)以上のもの)
- 機械装置費(単価100万円(税抜)以上のもの)
- ソフトウェア費(単価100万円(税抜)以上のもの)
- 外注費
- 専門家経費(1日5万円(税抜)が上限)
※外注費と専門家経費の合計は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計額未満(事業経費全体の半額未満)となっている必要があります。
■補助事業のスケジュール
4月28日 17時まで
※次回公募については6月下旬以降に行われる予定です
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、物流事業者の「省力化」「施設整備」「自動化」に特に活用しやすい7つの補助金をご紹介しました。どの制度にも魅力がありますが、共通するのは「申請には専門的な知識や書類の準備が必要」という点です。
・申請したいが何から取り掛かるべきか相談したい
・申請のサポートを依頼したい
・自社の事業が対象となるか確認したい
株式会社G&Nでは、こうしたご相談に対して丁寧かつ実践的なサポートを行っております。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。