2025.05.23
省エネ対策におすすめ!東京都の中小企業者に最適な補助金を解説

本記事では、東京都内の中小企業が「業務用エアコン」「LED照明」等の様々な設備を更新する際に活用できる、省エネ制度を2つご紹介します。
エネルギー価格の高騰や脱炭素化が進む中、こうした設備更新を通じた「省エネ対応」は、今やすべての事業者にとって重要なテーマです。
本記事では2つの制度の分かりやすい比較から制度概要・申請の要件・申請スケジュール・注意事項まで詳しく解説しています。
省エネ性能の高い設備への更新をご検討の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
はじめに:なぜ省エネ対策に補助金がおすすめなのか
「老朽化した空調や照明設備の入れ替えを検討している」
「省エネ対策を今後検討したいと考えている」
そんな東京都内の事業者の方に、ぜひ知っていただきたいのが、省エネ設備導入に使える補助金制度です。
エネルギー価格の高騰や世界的なカーボンニュートラル実現に向けた取組への機運の高まりを背景に、「省エネ対応」は全ての事業者にとって避けては通れない課題となっています。
政府も「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出実質ゼロ)」を目標に掲げ、省エネを進める企業への支援策を強化しています。
特に東京都では、カーボンニュートラルに資する独自戦略として「ゼロエミッション東京戦略」のもと、事業者による省エネ・再エネの取り組みを積極的に後押ししており、都独自の補助金制度も整備されています。
そこで、今回は業務用エアコンやLED照明等の設備更新に直接活用できる補助金制度として以下の2つの制度をご紹介します。
- ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業(東京都)
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(経済産業省)
「ゼロエミッション東京戦略」とは?
東京都が掲げる「ゼロエミッション東京戦略」は、2030年までに温室効果ガスを2000年比で50%削減し、脱炭素都市を目指すための政策パッケージです。
この中では、以下のような多様な支援メニューが用意されており、都内の中小企業の事業所における省エネや、家庭における省エネをそれぞれ強力に後押ししています。
- ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)導入支援に関する補助金
- 太陽光発電や蓄電池設置に対する補助金
- EV(電気自動車)導入支援に関する補助金
- 事業所の空調・照明等の省エネ設備更新に関する補助金
法人向けの主な省エネ補助金2つの比較
今回は業務用エアコンやLED照明等の設備更新に直接活用できる補助金制度である以下の2つの制度をご紹介します。
- ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業(東京都)(※1)
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(経済産業省)(※2)
※1:正式名称が長いため、下表では「ゼロエミ補助金」と略しています。
※2:今回は、業務用エアコンやLED照明の導入に活用できる、類型(Ⅲ)設備単位型をご紹介します。
この2つの制度は、補助対象者の範囲や補助対象となる設備、補助上限金額が異なるため、自社にあった制度を確認しましょう。
比較項目 | ゼロエミ補助金 | 省エネ補助金 |
---|---|---|
対象エリア | 東京都内の事業者のみ | 全国の事業者 |
対象企業 | 中小企業 | 中小企業~大企業 |
対象設備数 | 8種類 | 15種類 |
対象設備の種類 | ・高効率空調設備 ・全熱交換器 ・LED照明設備 ・高効率ボイラー ・高効率変圧器 ・断熱窓 ・高効率コンプレッサ ・高効率冷凍冷蔵設備 | ・高効率空調設備 ・産業ヒートポンプ ・業務用給湯器 ・高性能ボイラ ・高効率コージェネレーション ・低炭素工業炉 ・変圧器 ・冷凍冷蔵設備 ・産業用モータ ・制御機能付きLED照明器具 ・工作機械 ・プラスチック加工機械 ・プレス機械 ・印刷機械 ・ダイカストマシン |
補助金額 | 最大4,500万円 | 最大1億円 |
補助率 | 2/3 | 1/3 |
対象設備の自由度の高さや補助率の高さ(2/3)を重視したい東京都内の事業者は「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」、東京都以外の事業者や高額な設備導入・複数拠点への導入をご検討の事業者は「省エネ補助金」の活用がおすすめです。
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業(東京都)
令和5年(2023年)より開始された東京都の補助金であり、都内の中小企業が、業務用エアコンやLED照明などの省エネ設備を導入する際や、センサー等の導入を通じた運用改善を行う際に活用できる制度となっています。
主に以下のような取組が補助対象となります。
<省エネ設備の導入>
高効率空調設備、LED照明設備、全熱交換器、高効率ボイラー、高効率変圧器、断熱窓など
<運用改善の実施>
人感センサー等の導入、照明スイッチの細分化工事など
補助上限金額・補助率・補助対象経費
補助上限金額 | 4,500万円(申請要件①で申請する場合) |
2,500万円(申請要件②で申請する場合) | |
1,000万円(申請要件②で申請する場合) | |
補助率 | 2/3(申請要件①のみ3/4) |
補助対象経費 | 省エネ設備の導入又は運用改善の実践に係る設計費、設備費、工事費 |
※申請要件の詳細については後ほど説明します。
補助対象経費に関する注意事項
・更新に伴い撤去する既存設備に係る撤去費、処分費
・共通仮設費、現場管理費、一般管理費
・更新設備の場外運搬費
・土地の取得、賃貸、管理等に要する費用
申請要件
本補助金では、以下の申請要件①②③のいずれかを満たして申請をする必要があります。
■申請要件①
年間CO2排出量を更新前と比較して28t以上削減可能な省エネ設備導入・運用改善を実施する。
■申請要件②
事前に省エネ診断を受診し、この提案に基づき、年間CO2排出量を更新前と比較して3t以上又は30%以上削減可能な省エネ設備導入・運用改善を実施する。
■申請要件③
自ら省エネ計画を作成し、年間CO2排出量を更新前と比較して3t以上又は30%以上削減可能な省エネ設備導入・運用改善を実施する。
省エネ診断とは
都内の産業・技術部門の温室効果ガス排出量の約6割を占めている中小規模事業所に対して、補助金事務局(クールネット東京)の専門の診断員が直接現地調査を行い、電気・ガス・水道等のエネルギー使用状況の確認や、使用量削減のための省エネに関する提案・助言を行う制度です。
診断は無料で受けることができ、似たような制度として、クールネット東京が予め「省エネ対策サポート事業者」として登録している事業者から、現地調査や省エネに関する提案や助言を受けることができる省エネコンサルティングもあります。
診断には最短でも約2ヶ月の期間を要しますが、より大きな補助金額での申請が可能となるメリットがありますので、積極的な活用をおすすめします。
補助対象者
都内で中小規模事業所を所有又は使用している、以下の中小企業者等が活用可能です。
- 中小企業者(株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合弁会社等)
- 個人事業主
- 学校法人
- 一般社団(財団)法人
- 公益社団(財団)法人
- 医療法人
- 特定非営利活動法人
- 社会福祉法人
「中小規模事業所」に関する注意事項
燃料・熱・電気の使用量を原油に換算した合計の量(原油換算エネルギー使用量)が、年間1,500kL未満の事業所等(事業所内の事務所、営業所も含む)である場合に該当します。
「中小規模事業所」に該当しない場合は補助対象外となりますので、注意が必要です。
補助事業のスケジュール
補助金の募集開始から補助事業完了までのスケジュールは下図の通りとなります。

1.交付申請
以下の書類を準備し締切日までに申請を行います。
- 設備工事に係る見積書(3社分)を準備
- 謄本や納税証明書等の会社関係書類を準備
- 下記証憑をもとに事業所の省エネ計算を行う(省エネ診断を受診する場合は不要)
- 事業所の電気やガス等の請求書
- 既存設備と更新設備の仕様書や能力等が分かる画像等
- 事業所のCO2削減効果を計算する
- 交付申請書を作成する
2.審査
申請締切日(直近では6月27日)から約1~2週間を目途に、申請受理・不受理の通知がメールで届きます。受理となった場合は審査担当者が審査を行い、申請締切日より約2ヶ月を目安に採択(交付決定)・不採択の通知がメールで届きます。
※修正依頼が生じることもあるため、交付決定時期は前後する場合があります。
3.工事実施
交付決定より工事実施が可能となります。工事実施期間は最長で1年間であり、期間内に工事実施と後述する工事完了届の提出を全て完了する必要があります。
4.報告
工事実施と工事費用の支払いが完了後30日以内、又は工事実施期間最終日のうちいずれか早い日を期限とし、それまでに以下の書類を準備し「工事完了届」として報告する必要があります。
- 地球温暖化対策報告書を作成・申請し、収受印を受けた報告書を準備
- 設備更新箇所の全ての工事前後の写真を撮影する
- 設備処分に関する書類等(マニフェスト伝票等)の準備
- 設備工事に関する書類(工事契約書、工事請求書等)の準備
- 工事完了届の作成
5.事業化状況報告等
工事完了届の提出及び補助金の受給後も、2年間にわたり地球温暖化対策報告書の作成と提出を行う必要があります。
まとめ
東京都の数ある補助金の中でも比較的多くの事業者が活用可能な制度ですが、申請から補助金受給後まで非常に多くの手続きや準備が必要です。
株式会社G&Nでは、申請準備や補助金受給後のアフターフォローはもちろん、省エネ設備の選定や省エネ計算、工事実施の伴奏までトータルでご支援しております。
「補助金申請に向けて何から取り組むべきか分からない」
「自社で検討している設備更新が省エネになるか知りたい」
「省エネに資する設備について聞きたい」
このような方はぜひ一度、弊社にお気軽にご相談ください。
省エネ補助金(経済産業省)
平成31年(2019年)より募集開始した経済産業省の補助金であり、全国の事業者が行う大規模な設備投資やエネルギーマネジメントシステム(EMS)等の導入を通じたエネルギー消費最適化の取組を全面的に支援する制度となっています。
本補助金には(Ⅰ)~(Ⅳ)の申請類型が設けられており、それぞれ補助対象となる取組や補助金額、補助率が大きく異なります。申請類型ごとの補助金額・補助率・補助対象経費は下図の通りとなっています。

今回は中でも、業務用エアコンやLED照明等の汎用的な省エネ投資に活用可能な(Ⅲ)設備単位型をピックアップしてご紹介します。
補助上限金額・補助率・補助対象経費
補助上限金額 | 1億円/事業全体 |
補助率 | 1/3以内 |
補助対象経費 | 導入する設備に係る費用(設備費) |
対象となる設備
本補助金では事務局が予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表している以下の15種類の設備が補助対象となります。
<ユーティリティ設備>
- 高効率空調(産業・業務用エアコン等)
- 産業ヒートポンプ
- 業務用給湯器
- 高性能ボイラ
- 高効率コージェネレーション
- 低炭素工業炉
- 変圧器
- 冷凍冷蔵設備
- 産業用モータ
- 制御機能付きLED照明器具
<生産設備>
- 工作機械
- プラスチック加工機械
- プレス機械
- 印刷機械
- ダイカストマシン
申請要件
本補助金では、設備導入を通じて事業所全体において以下の「省エネルギー効果の要件」を満たす必要があります。単に指定設備を導入するだけではなく、導入前後で事業所のエネルギー使用量がどれだけ削減されたかが重要となりますので、注意が必要です。
■省エネルギー効果の要件
申請単位において、原油換算量ベースで以下のいずれかを満たすこと
- 計画省エネルギー量 :10%以上
- 計画省エネルギー率 :1kl以上
- 経費当たりの計画省エネルギー量:1kl/千万円以上
省エネルギー要件の計算方法
①計画省エネルギー量[kl]:事業実施前後でのエネルギー使用量の削減量を示すもの
=Ⓐ事業所全体の事業実施前の年間エネルギー使用量[kl]-Ⓑ事業実施後の年間エネルギー使用量[kl]
ex)1,500kl-1,000kl=500kl
②計画省エネルギー率[%]:事業実施前後でのエネルギー使用量の削減比率を示すもの
=(①計画省エネルギー量[kl]÷Ⓐ事業所全体の年間エネルギー使用量)×100
ex)(500kl÷1,500kl)×100=33.33%
③経費当たりの計画省エネルギー量[kl/千万円]
=①計画省エネルギー量[kl/年]÷補助対象経費[千万円]
ex)500kl÷150千万円=3.33[kl/千万円]
補助事業のスケジュール

1.交付申請
以下の書類を準備し締切日(7月10日)までに申請を行います。
- 更新する設備を選定する
- 設備工事に係る見積書(3社分)を準備
- 謄本や納税証明書等の会社関係書類を準備
- 下記証憑をもとに事業所の省エネ計算を行う
・事業所の電気やガス等の請求書
・既存設備と更新設備の仕様書や能力等が分かる画像等 - 交付申請書を作成する
2.審査
申請締切日(7月10日)から約2ヶ月を目安に採択(交付決定)・不採択の通知がメールで届きます。
※修正依頼が生じることもあるため、交付決定時期は前後する場合があります。
3.工事実施
交付決定より工事実施が可能となります。工事実施期間は概ね1年間となっており、期間内に工事実施と後述する工事完了届の提出を全て完了する必要があります。
また、事業実施期間中に事務局から「中間報告」を求められることもあり、その場合には事務局に求められる書類の提出や現地調査に対応する必要があります。
工事実施期間について
原則として、1年以内に補助事業を完了することが求められますが、1年以内での事業完了が難しい場合、予め「複数年度事業」を選択して交付申請を行うことで、最大で2年間まで事業実施が可能です。
4.実績報告
工事実施と工事費用の支払いが完了後30日以内、又は工事実施期間最終日のうちいずれか早い日を期限とし、それまでに以下の書類を準備し実績報告を行う必要があります。
- 更新設備に関する工事前後の写真を撮影する
- 設備工事に関する書類(工事契約書、工事請求書等)の準備
- 実績報告書の作成
5.事業化状況報告等
工事完了届の提出及び補助金の受給後も、5年間にわたり成果報告を行う必要があります。
まとめ
省エネ補助金の(Ⅲ)設備単位型は、他の申請類型と比較して多くの事業者が活用可能な制度ですが、申請から補助金受給後まで非常に多くの手続きや準備が必要です。
株式会社G&Nでは、申請準備や補助金受給後のアフターフォローはもちろん、省エネ設備の選定や省エネ計算、工事実施の伴奏までトータルでご支援しております。
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このような方はぜひ一度、弊社にお気軽にご相談ください。
最後に
いかがでしたでしょうか。
この記事では、東京都内の事業者に特に活用しやすい2つの省エネ補助金をご紹介しました。
どちらの制度にも魅力がありますが、共通するのは「申請には専門的な知識や書類の準備が必要」という点です。
- 申請したいが何から取り掛かるべきか相談したい
- 申請のサポートを依頼したい
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株式会社G&Nでは、こうしたご相談に対して丁寧かつ実践的なサポートを行っております。
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